まち 小野寺史宜 (著) 祥伝社 (2019/11/12) 1,560円

人を守れる人間になれ――。

じいちゃんが、母が、父が、身をもって教えてくれたこと。

「村を出て、東京に行け」と祖父に背中を押され、東京で一人暮らしを始めた瞬一。

人と交わり、若者は強く優しく成長していく。

尾瀬ヶ原が広がる群馬県利根郡片品村で歩荷をしていた祖父に育てられた江藤瞬一。

高校卒業とともに上京し、引越の日雇いバイトをしながら荒川沿いのアパートに住んで四年になる。

かつて故郷で宿屋を営んでいた両親は小学三年生のときに火事で亡くなった。

二人の死は、自分のせいではないかという思いがずっと消えずにいる。

近頃は仕事終わりにバイト仲間と他愛のない話をしたり、お隣の母子に頼まれて虫退治をしたり、町の人々に馴染みつつあった。

そんなある日、突然祖父が東京にやって来ると言い……。

ひとがつながり、まちができる。僕にもうひとつ、帰る場所ができた。

「「ひと」に続き、この作品も読んでよかった。両作品とも自分の心の中にすっと入ってきて、とても大切な読書時間をもらいました。作品の根底に流れる、淡々としてそれでいて優しい雰囲気が自分に合っているなぁと感じます。早く次の作品も読みたいです。」

「決してテクニックや構成で読ませる内容ではないのだけど、なぜか平凡でありながらも引き付けられる。人間関係や街の様子が丁寧に描かれているし、特別な才能を持った人達ではない登場人物達ではあるがそれぞれの人生が垣間見れるのが魅力のひとつ。砂町銀座商店街が少し絡んでくるけど、この手の別の作品なんだけど、著者の作品の中で少しつながってくる感じも良い。
主人公の平凡さが逆に味わい深い。」

「「本の雑誌」に書評家の北上次郎が、「筧ハイツ」や「砂町銀座商店街」の「おかずの田野倉」が共通して出てくるところから、筧ハイツサーガ、あるいは砂町銀座商店街サーガになるのではないかと書いていましたが、そうなるとおもしろいですね。この作家の他の作品にも筧ハイツや砂町銀座が出てくるそうですし。
『ひと』のときは体言止めが多くて、少しうるさいという印象でしたが、本作ではそのようなことはありませんでした。読後感の爽やかないい本でした。」


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