暗黒のメルヘン 澁澤龍彦 (編集) 河出書房新社 (2025/3/6) 1,320円

自分の気に入った幻想小説のアンソロジーを、好みのままに花束のように編んでみたい──

澁澤龍彦が選りすぐった珠玉の小説16篇。

怪奇幻想文学アンソロジーの金字塔的作品。解説=高原英理

目次

龍潭譚        泉鏡花
桜の森の満開の下   坂口安吾
山桜         石川淳
押絵と旅する男    江戸川乱歩
瓶詰の地獄      夢野久作
白蟻         小栗虫太郎
零人         大坪砂男
猫の泉        日影丈吉
深淵         埴谷雄高
摩天楼        島尾敏雄
詩人の生涯      安部公房
仲間         三島由紀夫
人魚紀聞       椿實
マドンナの真珠    澁澤龍彦
恋人同士       倉橋由美子
ウコンレオラ     山本修雄

編集後記       澁澤龍彦
もうひとつの正統文学 『暗黒のメルヘン』後の世代からの解説 高原英理

「1971年に立風書房から出た単行本の文庫化。澁澤の好みで選んだ幻想小説集。収録されているのは、泉鏡花「龍潭譚」、坂口安吾「桜の森の満開の下」、石川淳「山桜」、江戸川乱歩「押絵と旅する男」、夢野久作「瓶詰の地獄」、小栗虫太郎「白蟻」、大坪砂男「零人」、日影丈吉「猫の泉」、埴谷雄高「深淵」、島尾敏雄「摩天楼」、安部公房「詩人の生涯」、三島由紀夫「仲間」、椿実「人魚紀聞」、澁澤「マドンナの真珠」、倉橋由美子「恋人同士」、山本修雄「ウコンレオラ」。選りすぐりの一冊であることは間違いない。どれもレベルの高い印象的な作品で、味わい深い。しかし、一般の読者には向かない本だと思う。あまりにも難解で読みにくい作品が多い。純文学者が見た「悪夢」を小説化したものというか、純文学版「怪奇小説集」というか。少なくとも、読むのは一日に一編ずつにおさえ、なおかつひとつの作品を三回は読むようにしたい本だ。」

「私も澁澤は嫌いじゃないですが、何と言っても彼の趣味は幾分か偏っていますね。好きなものは絶対好きって言うか。ですからまぁ、このアンソロも、彼の大好きな作品が収められているわけです。んで、まぁ、ここに収められた作品が、彼のエピゴーネンらによって、名作と言われていった嫌いがあるわけなのですけれども。でも、あんなに土着云々と言って貶していた夢野を取り上げるのもなんか変な感じですね。
まぁ、アンソロジーと言うのは編者の好みが出るので、仕方が無いことなんですけどね。安吾の作品は余りにストレートじゃあ?」


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