こんな小説を書いたのははじめてだ――。
美しい母、幼少期の思い出、デビュー作の誕生。作家としてのルーツへと迫る傑作長編。
猫から「あの女を捜すんだ」と言われた小説家の「わたし」。
あの女の正体は、若き女優・真理子だった。
彼女とともに「奇妙な電車」に乗り込むと、いつの間に周囲の人たちは、過去の時代の服装に変わっていた……。
そして、真理子との再会をきっかけに、かつての自分を見つめる「母」の声が聞こえるようになる。
シェパードの子犬、日曜日の図書室、中学生の時の作文、デビュー作となった小説――。
作家としての自らのルーツへと迫る、傑作長編小説。
村上龍「MISSING 失われているもの」2022
まず新潮文庫で村上龍は新鮮。村上龍はやはり講談社文庫あるいは幻冬舎文庫、集英社文庫のイメージが強い。 pic.twitter.com/t49iiSl3iy— nobuhiko (@nk_yamagoya) September 30, 2022
「JMM連載中から拾い読みしていました。2015/6月の「オールド・テロリスト」以来になりますが、「MISSING 失われているもの」(村上 龍 村上龍電子本製作所)を読みました。
本書は、1976年、登山中に台風の影響から飯豊連峰のカイラギ小屋で停滞を強いられた時、他の登山者が置き忘れていった「文藝春秋」に転載されていた作者の処女作の1行目を読んだ時のことを思い出させてくれます。」「龍の関心は外的世界に向かい、春樹のそれは内面に向かう、ずっとそう思ってきた。この小説でついに龍の関心は自分の内面へ、そして母の若い頃にまで至る過去へと向かう。それも、この世とあの世の狭間、現実と虚実の間、覚醒と睡眠の境界の世界で。自身が選んでコラージュした多くの写真とともに。村上龍が自身を削って描き出した新境地がここにある、と感じた。」
「著者の諸小説には、奇抜で多種多様な舞台や設定が頻出するが、注目すべきテーマは通底している。
本書は、著者がこれまで作品を通して一貫してとってきた、小説に対する姿勢の本質が集約されているように思う。
学生のうちにこの小説を読めたことを、心から喜びたい。」
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