中先代の乱 北条時行、鎌倉幕府再興の夢 鈴木由美 (著) 中央公論新社 (2021/7/19)

建武2年(1335年)北条高時の遺児・時行が挙兵、破竹の勢いで鎌倉を落とす。

鎌倉幕府滅亡から2年、あきらめなかった男たちの戦いは続いていた。

時の政権を震撼させた「逆襲の北条氏」を気鋭の研究者が愛と情熱を胸に徹底解説。

建武2年(1335)7月、信濃で北条高時の遺児時行が挙兵した。

破竹の勢いで鎌倉を落とした彼らの動きに、時の政権は戦慄する。

後醍醐天皇、足利尊氏、護良親王など多くのキーマンの運命を変えた反乱の内実を読み解き、その歴史的位置づけを示す。

「中学時代にちょっとしたあこがれだけで、普通だったら『北条時行天下を盗る!』みたいな同人のような歴史ifに走りそうなところを、南北朝というややこしい時代を少ない資料の中から読み解き書き上げた一念には敬服するしかありません。
中先代の乱が起こるきっかけとして旧北条氏勢力による反乱が多かった事や建武新政に不満を抱く勢力も少なくなかった事があげられたり、この時代ある意味で悲劇的人物ともいえる護良親王が時行と連携するのを恐れて殺害されたというのは発見でした。ただ時行が年少だったとか周りに名のある人物が少なかったという身もフタもない記述もありましたが。
その後、打倒尊氏を目指し南朝の忠臣として転戦する姿が描かれますが、この辺りは本当に資料が少ないのが悔やまれます。若くして処刑されたとはいえ、成人してからより成人前の方が注目されていたとうのも何かの皮肉のようにも感じました。」

「最近北条時行が主人公を務める逃げ上手の若君と言う漫画作品を読み始めた事もあり、もう少し時行の生涯を知っておきたいと思っていたところこの書籍を知り読んでみる事にしました。
個人的に時行の生きた時代は終始動乱の時代とは言え日本史上特に惹かれるものを感じるのですが、本書では主題である中先代の乱を中心に北条時行の波乱の生涯を改めて知る事が出来て満足な気持ちになれました。
同時に建武の新政時代に中先代の乱以外にも全国各地で数十件にも及ぶ北条一族及びその関係者の反乱が起こっていたと言う事実は全く知らなかったので特に驚かされました。
この点を見ても鎌倉時代とは当時の武士達にとって時代が変わろうと良くも悪くも懐かしまれる時代だったのだなと改めて感じさせられます。
例の漫画作品は勿論北条時行を主題にした書籍は珍しいと思うので興味のある方は是非読んでほしいです。」

「北条時行なんて普通の人は知らないだろう。
史料もそれほど多くはない。よく一冊になったな、という感じ。前半では彼が登場するまでの流れをうまくまとめているし、とても読みやすい。
「〇〇の日本史」とか、いい加減に読み飽きた。研究者はやはり鈴木氏のような実証的研究書をものしてもらいたい。
時行といえば目下「逃げ上手の若君」が連載中。これは漫画として楽しめばよいし、専門的に学びたい人には本書をオススメする。」


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