猫を棄てる 父親について語るとき 村上春樹 (著), 高妍 (イラスト) 文藝春秋 (2022/11/8) 726円

父の記憶、父の体験、そこから受け継いでいくもの。村上文学のルーツ。

ある夏の午後、僕は父と一緒に自転車に乗り、猫を海岸に棄てに行った。

家の玄関で先回りした猫に迎えられたときは、二人で呆然とした……。

寺の次男に生まれた父は文学を愛し、家には本が溢れていた。

中国で戦争体験がある父は、毎朝小さな菩薩に向かってお経を唱えていた。

子供のころ、一緒に映画を観に行ったり、甲子園に阪神タイガースの試合を見に行ったりした。

いつからか、父との関係はすっかり疎遠になってしまった――。

村上春樹が、語られることのなかった父の経験を引き継ぎ、たどり、自らのルーツを初めて綴った、話題の書。

イラストレーションは、台湾出身で『緑の歌?収集群風?』が話題の高妍(ガオ イェン)氏。

「この村上春樹の現実と非現実の狭間に佇んでいるような不思議ワールドがたまらない。」

「戦争の影響が戦後の私たちの生活にもいかに大きく影を落としていたのかも、彼の一族のその後を通してかなり具体的に理解できた。」

「父親の青年期の謎の時代、すなわち1941年の召集解除から1944年の京都帝国大学に入学するまで、23歳から26歳までの期間に何をしていたかわからない、という指摘の後で、「父親が召集解除を受けて離隊したすぐあとに太平洋戦争に火ぶたが切られ、」という文章がある。それまでずっと「父」と表記してきたのに、ここでより一般化した「父親」という表記にしたのはなぜだろうか。」


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