お探し物は図書室まで 青山美智子(著) ポプラ社 (2020/11/11)

お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?

人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた小さな図書室。

彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。

仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。

「本を探している」と申し出ると「レファレンスは司書さんにどうぞ」と案内してくれます。

狭いレファレンスカウンターの中に体を埋めこみ、ちまちまと毛糸に針を刺して何かを作っている司書さん。

本の相談をすると司書さんはレファレンスを始めます。不愛想なのにどうしてだか聞き上手で、相談者は誰にも言えなかった本音や願望を司書さんに話してしまいます。

話を聞いた司書さんは、一風変わった選書をしてくれます。図鑑、絵本、詩集……。

そして選書が終わると、カウンターの下にたくさんある引き出しの中から、小さな毛糸玉のようなものをひとつだけ取り出します。

本のリストを印刷した紙と一緒に渡されたのは、羊毛フェルト。

「これはなんですか」と相談者が訊ねると、司書さんはぶっきらぼうに答えます。 「本の付録」と――。

自分が本当に「探している物」に気がつき、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。

「自分に自信がないと感じた時に、背中を摩って、押してくれる。暖かみを感じる本です。」

「大きくて髪の毛をお団子にしている司書の女性がお勧めの本を紹介して図書室を訪れる人の悩みを解決していく物語です。(風貌からマツコさんをイメージしてしまいます。)この手の小説にありがちな登場人物の『悩み→何かを媒介とした気付き→解決の方向に向かう』についても読んでいて厭味無く素直に受け入れてしまいます。読後感も気持ちいいです。それはそれぞれの話に出てくる人の心理描写や背景が自然なのと、紹介する本の取り上げる部分の人に寄り添う感じが、良いからだと思います。」

「知らないあの人も、知っているこの人も、私の知らない悩みを抱えている。ちょっとしたきっかけで視点が変わり、受け止め方が変わり心が軽くなる。どの登場人物に自分を投影するか。ずっと手元に置いておきたい本です。」


(クリックするとAmazonのサイトへジャンプします)

 

おすすめの記事