捨てない生きかた 五木寛之 (著) マガジンハウス (2022/1/27) 1,000円

“捨てる身軽さ”よりも“捨てない豊かさ”を。

「コロナ以後の新時代」を生きる逆転の発想!

著者自身の「捨てない生活」から、仏教の「捨てる思想/捨てない思想」、「この国が捨ててきたもの」まで……、アフターコロナを豊かに生きるためのヒント!

ジョルジオ・アルマーニというたいへん有名なイタリアのファッションデザイナーがいます。

1934年生まれです。彼のインタビューが2021年6月の読売新聞に載っていました。

今回のコロナ禍について、アルマーニ氏は「あらゆるもののスピードを落として、配置転換する機会になると思う」と述べています。

そして、ファッション業界は立ち止まって考える時期にきており、移り変わる流行に翻弄されないものをつくる必要がある。

いつも着ていて長持ちするものをつくること、それがファッション業界がとるべき持続可能な道なのだ──と。

大量に衣服を買い込んで短期間だけ着て捨ててしまう時代ではない、という意見にはぼくも賛成です。

「多くを入手して、多くを捨てる」という方法は、けっして持続可能なライフスタイルではありません。

「アルマーニ」は上級国民ご用達と思われているようなファッションブランドです。

そんな高級ブランドの総帥が、時代を見つめながら語る言葉が、ぼくにはとても新鮮に聞こえました。<中略>
「捨てない生きかた」も悪くない──。

手に入れるのに苦労したとしても、たやすく手に入ったとしても、いまそこにあるモノには、手に入れたときの感情と風景、そして数年、数十年とともに時を過ごしてきた〈記憶〉が宿っています。

捨てるな、とはけっして言いません。しかし、モノをどうしても捨てられない気持ち、そして、モノを捨てない生きかたということには、素敵な道理がちゃんとあるということを知っておいていただきたいのです。

  • ふえゆくモノたちと、どう暮らしていくか
  • シンプルライフにひそむ「空虚さ」
  • モノは「記憶」を呼び覚ます装置である
  • 「ガラクタ」は孤独な私たちの友
  • 生き生きと老いていく
  • 人づき合いは浅く、そして長く
  • 法然と親鸞が捨てようとしたもの
  • 過去を振り返ってこそ、文明は成熟する etc.

著者について
1932 年福岡県生まれ。朝鮮半島で幼少期を送り、47 年引き揚げ。52 年早稲田大学ロシア文学科入学。57 年中退後、編集者、ルポライターを経て、66 年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67 年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76 年『青春の門 筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞、英文版『TARIKI』は2001 年度「BOOKOF THE YEAR」( スピリチュアル部門) に選ばれた。02 年に菊池寛賞を受賞、09 年にNHK 放送文化賞を受賞、10 年『親鸞』で第64 回毎日出版文化賞特別賞を受賞。代表作に『風の王国』『大河の一滴』『蓮如』『下山の思想』『百寺巡礼』『生きるヒント』など

「本を依代=媒体に、あの時はこんな問題意識を持っていたのだと人生を振り返るのも豊かな過ごし方だと思えるようになった。もちろん捨てるものもあるが、あえて捨てることはない。それらに囲まれてあれこれ考えるのも豊かな人生ではないだろうかと、この本は教えてくれる。
愛着のある本やモノを「捨てねばならない」と思い込み、苦しんでいたが、これらの本を人生の振り返りの貴重な友として位置付けることができるといううれしい発見となった。」

「私自身こうしたことを経験している(捨てなきゃよかった等)ので、思いっきり処分したりしなかったりだが、ガラクタは好きだ。特に子どもの頃親しんだ物からは勇気をもらえる。
気分量としては(捨てなきゃよかった・思わぬガラクタが役にたった = 捨ててスッキリ・身軽だ)かな。
「ホモ・ファーベル」という言葉がある位だから、物に囲まれた人生も人間らしい。
ただ、できれば江戸時代人が見ても納得できる木製・金属製がよいな。
昭和30年代には、まだそんな物の暮らしが残っていた。
五木氏のエッセーは心にしみるので、実践というより楽しみな読み物として所有するつもりだ。」


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