大獄 西郷青嵐賦 葉室麟 (著) 文藝春秋 (2020/12/8)

薩摩藩主・島津斉彬に見出された若き日の西郷隆盛。

一橋慶喜を新将軍に擁立し、国難に備えようとする斉彬の命を受け、徳川慶福を擁する井伊直弼らとの暗闘を繰り広げるが、やがて井伊は尊王攘夷へ弾圧を始める。

主を病で失い、奄美に流された隆盛が抱く想いは…。

西郷の理想を突き詰めた著者の傑作。

「西郷隆盛(吉之助)の前半生が実に生き生きと描かれていて、深く胸を打たれました。葉室麟さんが描くと、どうしてこんなにも読者の心に生きる力を与えてくれるのか、不思議な気がします。奄美大島から戻った後の西郷隆盛の生き様を葉室麟さんはどのように描かれるのか、気になるところですが、それを世に問われる事なく亡くなられました。悲しくもあり、心残りで仕方がありません。」

「ここ最近はずっと西郷関連の学者や研究家が書いたものしか読んでなかったので、息抜きの為にこの小説を。島津斉彬に見出される辺りから、遠島先の奄美大島から鹿児島へ戻るまでを描いている。なので、西郷さんの人生全てを味わえない為にスケールが乏しくならざるをえない。しかし、斉彬の死、月照との入水、大島での生活はもちろん、数々の偉人たちとの描写は小説ならではの見ごたえはある。後半の徐々に大久保との隙間が広がる様が、次作への期待感となった。」

「冒頭、幕末期の日本と琉球をとりまく国際関係の記述からまず引き込まれた。
琉球は薩摩藩の支配下にありながら清との朝貢(ちょうこう・属邦自主が原則。清は朝貢国に対し内政・外交などの直接支配はしなかった。他に朝鮮・ベトナム・タイ王国・ビルマ・ネパール・イスラーム諸国が該当)を行い、両属の形を取っていたこと。その琉球にフランスからの黒船が訪れて修好を求め、応じなければアヘン戦争のような目にあうと脅したこと。琉球は薩摩藩に助けを求め、薩摩藩はただちに幕府に知らせたこと。それを知った水戸藩主徳川斉昭が「琉球が西欧列強のものになれば、次に蝦夷地を占領して我が国を南北から攻め、さらに中心部の浦賀を狙うのではないか」と老中・阿部正弘に書簡を書き送ったこと。
これがペリーの黒船来航の7年前のことだということに、当時の日本人の危機管理能力の高さを感じた。今の日本人が学ぶべきことが大いにあると思う。」


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