学年誌の表紙画家 玉井力三の世界 山下裕二 (監修), 玉井力三 (イラスト) 小学館 (2022/9/16) 2,970円

学年誌誕生100年・初の表紙画集

100年前、世界的にもユニークな出版文化「学年誌」が誕生しました。

その表紙画を、約四半世紀にわたって最も多く描いた洋画家が玉井力三です。

男の子と女の子が笑顔で並んでいるあのイメージは、大正~昭和初期の児童文化の中で発達。

玉井が活躍した昭和の高度成長期に、爆発的な部数で書店に並び、私たちの記憶に強い印象を刻みました。

美術史家の山下裕二教授は、その緻密かつ不思議な明るさをもつ独特の魅力を、「これぞ“商業美術家の逆襲”!」と絶賛。

玉井が表紙画を描いた昭和30~40年代には、新しい児童文化が一斉に花開きました。学年誌の表紙は、そうした時代を映してきた鏡でもあります。

表紙に描かれた時代の象徴には次のようなものがあります。

東京オリンピック/大阪万国博覧会/アポロロケット/新幹線/ジャンボジェット機/長嶋選手/オバケのQ太郎/ウルトラマン/パーマン/ドラえもん/トランシーバー/8ミリカメラ/自転車…
玉井力三が描く表紙の子どもたちはみな笑っています。それは、かつて子供だった私たち自身の笑顔です。
とにかく前向きで明るかったあの時代の勢いと笑顔から、誰もが元気をもらえる一冊です。

数々の埋もれた名画や知られざる天才画家を見出し、いくつもの大ブームを起こしてきた、美術史家の山下裕二・明治学院大学教授が、いま大注目の表紙画家・玉井力三。

名前は知らなくても、その絵はどこかで見たことがあるはずです。

本書は、この玉井力三、初の本格的展覧会「学年誌100年と玉井力三-描かれた昭和のこども-」に合わせて刊行される表紙原画集であり、また、戦前から活躍した洋画家としての知られざる画業を、まさに初めて紹介する、美術史上の画期的な一冊です。

ほとんどが空襲で焼失した戦前の作品のなかで唯一残る、歴史的価値の高い『三笠艦橋の図』ほかの絵画作品も収録。

中村不折に師事したこと以外、ほとんど知られてこなかった足跡を、肉親の証言や美術史資料、図版とともにたどります。

また、小学館100年の歴史を振り返る、元小学館編集者であり、児童文化評論家・野上暁の解説も必見。

学年誌100年の歴史のなかでの、玉井力三の存在を、児童出版文化史の中に位置づけます。

装丁・ブックデザインは、学年誌蒐集家でもある祖父江慎。

展覧会のアートディレクションも務め、玉井力三の魅力をこの一冊に凝縮します。


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