トッカイ 不良債権特別回収部 清武英利 (著) 講談社 (2020/12/15)

狂乱のバブル経済崩壊後の「失われた20年」のさなか、日本中の不良債権取り立てに奮闘する国策会社=整理回収機構。

そこで働く面々は、その多くがバブル崩壊で破綻した金融機関の出身者たちだった。

借り手の側から取り立てる側へ――

将棋の「奪り駒」のように回収の最前線に打ち込まれた者たちは、バブル経済に踊った怪商、借金王、ヤクザらと対峙し、ジワジワと追い詰めていく。泥沼の債権回収に奮闘した、男たちの物語。

住専こと、住宅金融専門会社7社は、バブル崩壊により、6兆4000億円にのぼる巨額の損失を負った。

7社はいずれも大手銀行、証券、生保などを母体に設立されたが、80年代末の狂乱のバブル時代、母体行が融資に尻込みした「バブル紳士」たちに巨額の融資を行い、その多くが回収不能となり焦げ付いた。

政府は6850億円の公的資金投入を決めるが、これが世論の強烈な反発を招く。

自民党・橋本龍太郎政権は「住宅金融債権管理機構」を設立し、社長に「平成の鬼平」と呼ばれた中坊公平元日弁連会長を据えた。

住専各社から譲渡された不良債権を、できる限り回収することを目指す、「バブルのしんがり」たちの活動は、こうしてスタートしたーー。

「本書は、2019年に出版された『トッカイ バブルの怪人を追いつめた男たち』を改題し、新たに巻末に寺村信行・大蔵省元銀行局長の証言も加えて文庫化したものである。
バブル経済の清算の為に日夜戦う「整理回収機構大阪特別回収部」通称トッカイの活躍を描いたノンフィクション作品だが、読者がまず驚かされるのは巨額の債権額、次には正しく魑魅魍魎と呼ぶに相応しい悪質債務者の生き様だろう。バブル経済がいかに狂乱の時代だったかが窺える。億や兆単位の金が平気で飛び交う中で、時代の荒波に翻弄されながらももがき続ける男たち。果ては日本国内のみならず海外にまで資産隠しの手は伸びて行き、今もなお債権回収の戦いは終わっていないという熱い展開。既に来年1月にドラマ放送が決まっているが、ドラマには最適な題材だと思う。」


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