都市に侵入する獣たち ピーター・アラゴナ (著), 川道美枝子 (翻訳), 森田哲夫 (翻訳), 細井栄嗣 (翻訳), 正木美佳 (翻訳) 築地書館 (2024/3/12) 2,970円

クマ、シカ、コウモリとつくる都市生態系

【日本でも街中に出没するクマが話題になっている今、非常にタイムリーな1冊】

『スミソニアン・マガジン』の2022年お気に入り本に選出!

都市はいかにして野生動物たちにとって魅力的な住みかとなったのか?

道を横切る二足歩行のクマ、

巣のライブ配信中に子猫を獲ってきてヒナに与えるワシ、

動物園のコアラを連れ去ったピューマ――。

リスやコウモリなどの小型動物から大型猛獣まで、

人工的なものの象徴である都市が

思いがけず野生動物を引き寄せることになった理由を歴史的に振り返り、

駆除か保護かの二元論ではない共生への道を探る。

本書まえがきより
これまで見たことのあるような大自然の中のボブキャットばかりを思い描いていたので、驚いた。さらに驚いたのは、私が目撃したのは特別なことではなかったということだ。北アメリカの温帯から亜熱帯にかけて生息するボブキャットは、フロリダのエバーグレーズ、ケベックのノースウッズ、メキシコのソノラ砂漠など、大きく変化する生息地で生活している。ボブキャットは人間を避ける傾向があるのだが、彼らが好む餌にネズミなどの小型哺乳類が含まれるため、まれに郊外やその周辺に出没する。私の友人や同僚の多くは、以前に私の地元で彼らを目撃していた。どうやら、私はその存在を知った最後の一人のようである。

次に明らかになったのは、このことだ。私はそれまで10年間、絶滅危惧種――すなわち大まかな定義によればほとんどの人が見ることができない生物、その研究をしてきた。しかし、都市にこの野生の捕食者がいたのである。ある視点から見れば、アラスカヒグマやベンガルトラと同じくらい大胆で美しく恐るべき存在が、南カリフォルニアの郊外をうろついていた。それからの数日間、私は都市に棲む野生動物についていろいろと考えるようになった?あのボブキャットのおかげでこの本ができたのである。

また私は、自分が既存の思考パターンに陥っていたことに気づいた。何十年もの間、科学者や自然保護活動家の多くは、都市部とそこに生息する生き物を敬遠し、代わりにもっと遠隔地に生息する希少種に注目してきた。野生生物に関心をもつ人々は、都市を人工的で破壊的、そして退屈なものと考えていたのだ。そのような場所から学ぶことはほとんどなく、都市の中に救ったり養ったりすべき動物などいないと思われていた。野生生物保護団体が都市部に関心をもつようになったのは、ごく最近のことである。町中の自転車道でのボブキャットとの出合いを注目すべきものにしたのは、それがめずらしいことではなく、ごく普通のことだったからだということがわかってきた。この後のページで私が目指すのは、このような状況にいたった経緯と、アメリカのあらゆる都市のほぼすべての住民が自分自身の野生動物の物語をもっているということの意味の両方を説明することである。(本書まえがきより改変)

コヨーテ 野生動物
主な目次 その1
まえがき──あるボブキャットとの出合い

序論 猛獣たちのいるところは、今

第1章 都市は生命あふれる場所にこそつくられた

第2章 家畜が都市を支配していた時代

第3章 都市の緑が野生生物を繁栄させた

第4章 郊外の成長と狩猟の衰退がもたらしたもの

第5章 生息地を保全する

第6章 都市で成功する動物

第7章 大型獣と生息地を共有するということ

アシカ 野生生物
主な目次 その2
第8章 都市の生態学的な価値

第9章 動物のための道

第10章 不快生物を理解する

第11章 動物たちがいるべき場所

第12章 駆除 時間とコストが永続的にかかり、暴力的で効果がなく、根本的原因を解決するより新たな問題をつくり出す野生生物管理の形態の正当性が疑われている

第13章 都市と共進化する生き物たち

第14章 都会の野生をいつくしむ

著者について
アメリカの環境史家、保全科学者、自然文化地理学者で、
カリフォルニア大学サンタバーバラ校の環境学教授。
2011年に、21世紀の学術的リーダーになる可能性を秘めた研究者を支援する
米国国立科学財団(NSF)主催のCAREER助成金を獲得した。
絶滅危惧種についての研究に加え、
現在は野生生物との共存や失われた種の再導入といった課題に取り組んでいる。
カリフォルニアにグリズリー(ハイイログマ)を再導入することを目指して立ち上げられた
California Grizzly Research Networkの創立者兼ファシリテーター。
本書はカリフォルニアの絶滅危惧種について綴った最初の著書『After the Grizzly』(2013)
から約10年を経て書き上げられた著者の第2作である。


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