ヤクザと過激派が棲む街 牧村康正 (著) 講談社 (2020/11/26)

かわぐちかいじ氏激賞!

「浅間山荘事件以後、新左翼過激派はどうなったのか、
何と山谷でヤクザと激突していた。
革命か抗争か、これは共に暴力を肯定したもの同士が
存在を懸けて渡り合った血の記録だ。
読まずにはいられない」

戦後復興にまい進する東京の片隅で、高度成長を支えた日雇い労働者たちが集まった山谷のドヤ街。

一億総中流化社会からふるい落とされた、消したい過去を持つ無宿人たちがやけっぱちの賑わいに片時の安息を見出していた。

およそ40年前、いまやともに絶滅危惧種となった「ヤクザ」と「過激派」の抗争による殺戮の場と化した。

なぜヤクザと過激派はこの街で全面衝突を余儀なくされたのか。

日雇い労働者たちのオアシスはなぜ衰退したのか。

ヤクザに存在意義はあるのか。

左翼活動家に大義はあったのか。

繁栄から取り残された労働者たちと、時代から見捨てられた過激派、欲望に取り憑かれた暴力団、

さらには警察権力を交えたヤケクソの暴力がほとばしる、戦後史に埋もれた「日本社会の歪」が激しく暴発するピカレスク・ノンフィクション!

「バブル前夜、闘争に敗れ続けて行き場を失いつつあった過激派が、東京の片隅にある日雇い労働者の街・山谷に乗り込み、街を仕切っていたヤクザたちと凄惨な死闘を繰り広げる。東映実録ヤクザ映画を想起させるストーリーだが、当事者たちの生々しい証言と、街の住民たち、果ては右翼の視点まで交えて重厚な読みごたえをもたらせてくれる。「ごじゃの一分」でもそうだったが、この筆者の綿密かつ情感あふれる筆致が、この思いテーマを、どこか爽快感さえある読後感に仕上げている。」

「ヤクザと過激派の抗争という、刺激的な題材を扱ったノンフィクションである。1980年代前半、ヤクザ(日本国粋会金町一家)と新左翼過激派(山谷争議団)が労働問題で次第に対立を深めていく背景と、抗争の舞台になった山谷ドヤ街の特殊事情が分かりやすく説明されている。ようするに、当時の山谷はヤクザと違法手配師がいなければ機能しない街であり、ヤクザの暴力に対抗できない日雇い労働者にとって過激派は格好の用心棒だったと作者は言うのだ。ヤクザが警察の頂上作戦で追いつめられ、新しい資金源を必要としていた事情も理解できた。読み進めながら、40年前の日本がどういう時代だったのかを再認識することになった。ぎりぎり全共闘を知っている世代の私などは、この抗争のことをまったく知らなかったこともあるが、懐古的な興味もそそられて一気読みしてしまった。抗争の臨場感と、ヤクザにも過激派にもかたよらない独自の視点が面白いのだ。」

「日雇い労働者の街・山谷で1980年代に起きた日本国粋会金町一家と新左翼過激派を主体とする山谷争議団の間の「金町戦」を扱ったノンフィクション。1985年に発表されたドキュメンタリー映画『山谷─やられたらやりかえせ』を中心に据えて、関係者の証言を数多く引用しながら、当時何が起きていたのかを描き出そうとしている。」


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