優しい音楽<新装版> 瀬尾まいこ(著) 双葉社 (2019/6/12)

混雑した駅中、彼女は驚いた様子でまっすぐ僕の方へ歩いてきた。

それが僕たちの出逢いであり、恋人同士になるきっかけだった。

でも、心も身体もすっかり馴染みきったある日、唐突に知ってしまう。彼女が僕に近づいた理由を――。

(表題作「優しい音楽」)ちょっと不思議な交流が生みだす、温かな心の触れ合いを描いた作品集。

「タイトル作のほか、2編あります。
タイトル作は、若い男女の不思議な出会い(いわゆる逆ナン)からはじまり、なんとなくちぐはぐながら関係を育てていきます。最後の方で逆ナンの理由がわかるのですが、そこから主人公の行動にほんわか暖かいものを感じます。他の二編も同様で、なんとなく不自然で不思議だけど温かい雰囲気が漂います。ぬるい話といえばぬるい話で、別にどうという小説ではないのですが、読後がいい気持ちになれます。他の作品も読んでみようかな。」

「瀬尾まいこさんの小説は、ひとことで言うと愛しい。ちょっと変わった人たちが出てきて、変わった設定になっていて、飽きない。みんなで歌うシーンが印象的。」

「他人と自分をキーワードに繰り広げられる優しい短編集。
他人というのはすごく曖昧な言葉だ。
それは、他人とカテゴライズする基準範囲がとても不確かだからというように感じる。
そして他人が、他人じゃなくなった時に愛が生まれるのでは無いだろうか?
これは、愛とは何か?を問いかける一冊であるように感じた。」


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