「言葉が殺される国」で起きている残酷な真実 楊逸(著)、劉燕子(著) ビジネス社 (2021/7/5) 1,540円

芥川賞作家・楊逸が反骨の中国文学者・劉燕子と祖国で味わった共産党支配の恐ろしさ、そしてそれに抗う強い生き方を徹底的に語り合った衝撃の最新刊!

たしかに中国は一筋縄ではいかないひどい国ですが、その“悪の本質”は背後にある共産主義です。

習近平政権が終わればいいという問題ではありません。

だからこそ今、中国共産党の一〇〇年をいかに振り返るかが重要なのです―――楊逸

今、チベットや香港、ウイグルの問題が注目されていますが、にもかかわらず、なぜ日本人は、新疆ウイグルというと、井上靖のシルクロード、NHKのシルクロードだけになってしまうのか。

私には不思議、というか残念でなりません―――劉燕子

<目次>
序章 呪縛の原点となった「赤い真実」
~私たちは、なぜ”共産中国”に背を向けたのか?~
五歳でマイナス三〇度の極寒地へ下放
私の体をかすめた銃弾
テレサ・テン、劉暁波、そして天安門事件

第一章 言葉を殺した「加害者」に従うという不幸
すべてが政治の道具と化す”洗脳ファースト社会”
私たちは、自由が圧殺されてきた「生きた証拠」
なぜ、貴婦人の唇は赤くなったのか?
日本を代表する作家は赤川次郎
コンテストの結果が証明した中国文学三〇年の砂漠化
“敵”に勝つための武器としての文学
一九八九年に消え去ったつかの間の〝オアシス〟
共産党が作り上げた文豪魯迅という「最も紅い太陽」
自称「愛国者」という愚かな下層民たち
中国人はなぜ、人のせいにするのが得意なのか?
共産党でも国民党でもない究極の自由主義者
中国政府が恐れる”第二の魯迅”の登場

第二章 悪事の巧みな「書き換え」、そして過去の「正当化」
~家畜化された”ブタ”としての中国人民~
ブタは野生のイノシシのことがわからない
「中国人民」は家畜化されたブタ
産婦人科の温かいベッドで生まれた日本人にはわからないこと
翡翠の翠の字の意味は「習近平は二度死ぬ」
世界のあちこちで起きている「見ないふり」
不条理な時代、不条理な土地、不条理な人、不条理な制度
「ウソ」の一言で片づけてはいけない中国の”不治の病”
赤裸々な性描写の裏にある「異質な中国」
思想改造のため二八年間別居させられた父と母
なぜ村上春樹でなく莫言がノーベル文学賞を受賞したのか?
三カ月間、一睡もできなかった莫言
金儲けと名誉欲にまみれた「発禁」の実態
「昨日の先生」は「今日の反革命者」
実際に起きていた「赤ちゃんの丸焼き事件」

第三章 「敦煌」と「シルクロード」という幻想
知らず知らずのうちに〝共犯者”となった日本人
現地に行っても決して見えない中国の”闇”
中国訪問をあとになって後悔した開高健
中国、北朝鮮、キューバに共通する接待パターン
シルクロードへの憧れという大いなる誤解
毛沢東も習近平も使用している悪魔を入れられる〝容器”
実は日本に大きな期待をしていた劉暁波
信じたい〝幻想“と信じがたい〝現実“
唯一、勝ったのは中国共産党という恐ろしい現状
「知」は民の力、「無知」は権力者にとって最高の力
私が習近平を「敵」と断じた本当の理由
一条の光明は村上春樹のエルサレム・スピーチ

第四章 「悪の本質」が世界を蝕むとき
~共産主義100年の〝誤読″~
中国のみならず世界中で進む『1984』化という現実
小説の主人公と同じ過ちを犯した私の父
「日本では気をつけて。手を洗う方法を教えるよ」
『1984』をめぐる中国人の数奇な運命
ものの見事に文学を消し去ったキューバ
ソ連崩壊後も共産中国がしぶとく生き残っている理由
今、ブタに求められている正面から敵に向かう気概
生前のみならず死後まで、共産党に利用されつづけたヘミングウェイ
習近平訪米が巻き起こした中国のヘミングウェイ・ブーム
周恩来と密会し共産党の勝利を予言した〝文豪スパイ”
出版後に重慶で書かれた『誰がために鐘は鳴る』
魯迅とヘミングウェイの哀しい共通点
共産主義、カストロ、神、そして自分自身への絶望
経験しなければわからない共産主義の本当の恐ろしさ
一九六八年に運命が暗転したミラン・クンデラ
「本当の深刻さなんて、お前さんにわかってたまるか」
作家に「越境」や「亡命」の修飾語はいらない
文学を通じて「共産主義」を理解すべき本当の理由
小説を書くという仕事とは?
悪しき共産主義に打ち勝つ〝武器”としての文学の力

著者について
楊 逸(ヤン・イー、Yang Yi)
作家。1964年、中国ハルビン生まれ。
87年、留学生として来日。95年、お茶の水女子大学卒業。
2007年、『ワンちゃん』(文藝春秋)で文學界新人賞受賞。
翌08年、『時が滲む朝』(文藝春秋)で、
日本語を母語としない作家として初めて芥川賞を受賞。
『金魚生活』『中国歴史人物月旦 孔子さまへの進言』(以上、文藝春秋)、
『すき・やき』(新潮社)、『あなたへの歌』(中央公論新社)、
『わが敵「習近平」』(飛鳥新社)、『中国の暴虐』(共著、WAC)など著書多数。
現在、日本大学芸術学部教授。

劉燕子(りゅう・えんし、Liu YanZi)
現代中国文学者。1965年、湖南省出身。91年、留学生として来日。
大阪市立大学大学院、関西大学大学院修了。
大学で教鞭を執りつつ日中バイリンガルで著述・翻訳活動に従事。
『中国低層訪談録─インタビューどん底の世界』『殺劫 チベットの文化大革命』
『チベットの秘密』『劉暁波伝』『「〇八憲章」で学ぶ教養中国語』(以上、集広舎)、
『天安門事件から「08憲章」へ』『「私には敵はいない」の思想』(以上、藤原書店)、
『詩集 独り大海原に向かって』(書肆侃侃房)など編著訳書多数。

「翡翠の「翠」の文字は習近平「習」が二度死ぬ意味を持つ(?)のでいま使用禁止なのだそうです。2019年楊女史が11年ぶりに北京へ帰国したところ無数の監視カメラ、そして警官が市民を見張っている。驚く彼女にホテルの従業員は「もう戻ってこないほうがいい、ここは人間が住むような街じゃないよ」と語ったそうです。
日本人全員に読んで頂きたい本です。」

「これこそまさに「ペンの力」で権力に抗する人々の、グロテスクなまでのユーモアを込めた作品。こういう人たちこそ、私は「文学の英雄たち」と呼びたい。そしてマルケスらラテン・アメリカの現代文学の最大の後継者も、この作家たちではないかと思います。」

「とても深い意味を持つ事が全体を通して語られています。何度も読み返したい一書です。」


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