このままではロシア経済の絶望的な未来しか見えない

ロシア経済、その絶望的な未来予測

同国の著名経済学者「次の冬までに死に至る」

ロシアの未来は絶望のみ

ロシアのウクライナ侵攻を受け、西側各国がロシアに対してかつてない厳しい制裁を科しています。

フランスのルメール経済・財務相が「ロシア経済を崩壊させる」と述べた一方で、英国のジョンソン首相も「制裁の目的はロシアの体制転換」と断言。

一部欧米首脳は制裁の狙いがプーチン政権崩壊であることを隠そうとすらしていないのです。

北大西洋条約機構(NATO)が軍事介入しない方針を打ち出した以上、侵攻を止められるのは、制裁措置がロシアに与えるダメージのほかありません。

制裁が実際、どれほど経済に打撃を与えるのかに国際社会の関心が集まっているのです。

こうした中、編集長が昨年のノーベル平和賞を受賞したロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」は、プーチン政権を批判してきた同国の著名な経済学者ウラジスラフ・イノゼムツェフ氏のインタビュー記事を掲載しました。

「死」を予測

イノゼムツェフ氏は独立系シンクタンク、ポスト工業化社会研究センター所長。

国内の他、米国や英国、フランスなどで多数の経済関係や社会評論の著作を出版し、ロシアの後進性を指摘、プーチン大統領の強権体制を批判し、ロシアのエネルギー産業からの脱却を主張してきました。

3月14日付のノーバヤ・ガゼータに掲載されたインタビュー記事で、制裁や、ロシアの国際的孤立化による企業の収益悪化、インフレにより、次の冬までにロシア経済は「死に至る」と予測しました。

同氏は米政権がロシア産原油の禁輸措置を決めたことについて、たとえ欧米がロシア産原油輸入をやめたとしても、市場よりも安い価格ながら中国などに輸出する手段は残されており、減少幅は侵攻前の1日当たり740万バレルの水準から、100万~150万バレル程度の幅の減少に収まるとしています。

一方で、欧米の制裁はプーチン大統領や下院議員らの資産凍結など多岐にわたる。深刻なのはロシア中央銀行が米国などに持つ外貨準備の凍結、銀行など金融機関に対する制裁、制裁を科した国の領空でのロシア航空機飛行禁止措置だと指摘しました。

特に金融制裁について、プーチン大統領が債務者の救済措置を約束し、2300トンもの金準備を持つ中央銀行が債務支払い猶予や金融機関への低金利融資などの対策に乗り出す可能性はあるものの、近年活発となっていた国内の消費者金融や、12兆ルーブル(約12兆円)まで膨れあがった国内の不動産担保融資へ与える影響は大きいとしたのです。

さらに、ハイテク機器の禁輸や、制裁措置には含まれないものの、外国企業の撤退やロシア企業との取引停止が与える打撃は大きく、供給網は途絶え、借入金利も高騰する中、海外への販路は絶たれ、国内消費がしぼんだ国内の企業は追い詰められ大規模な破綻に追い込まれていくと予測。

具体的にはインフレ率は年30%に近づき、為替相場は1ドル=200ルーブルとさらにルーブル安が進みます。

失業者は現在の2倍、貧困層は1・5倍になると絶望的な未来予測を唱えました。

革命時に戻る

一方、ロシアでは経済制裁への対抗策も次々と打ち出されました。

通貨防衛のため、主要政策金利を2倍以上引き上げたほか、外貨流出阻止とデフォルト(債務不履行)回避に向け日本など「非友好国」へのルーブルによる債務支払いを宣言。

3月10日には、一部政権与党議員の提案を受け、ミシュスチン首相が外国企業が理由なくロシアでの事業をやめ会社を閉鎖した場合、外部の管財人に事業を継続させ雇用と生産を維持する法案を準備していると報告。

プーチン大統領もこの方針を了承した。外国企業の撤退を止めようとする動きの一環とみられます。

一時、取りざたされた撤退企業の「国有化」については、「国を100年前、1917年のロシア革命時に後戻りさせる」(新興財閥インターロス・グループのウラジーミル・ポターニン総裁)などの産業界の強い反対もあり、棚上げされたようだが、撤退企業の私権を制限する動きが、さらなる企業の不信を招き、将来的な海外投資を遠ざける結果に終わると懸念する声も根強い。

ネットの声

「クリミア侵略の記念集会で経済制裁は、ロシアが二度と他国を侵略できなくなるまで徹底的に行うべきだし、スポーツ、文化からのロシアの排除も徹底的に行うべきと改めて思った。
ロシアの多数は統制下にあるとしても、経済的に困窮すれば当然原因を探る。クリミア侵略の制裁が日本を含めて甘かった結果がウクライナ侵略につながり、多くのウクライナ人が犠牲になった。
半導体の輸出規制も行ったので、ロシア軍は最新兵器の開発、生産、維持は不可能になる。経済制裁の効果はなかなかすぐには出ないが、この制裁からロシアが回復することはかなり厳しい。プーチンが退陣しなくても、現在のロシア軍を維持することは不可能だ。」

「第二次世界大戦以降、武力によって国を変えることはことごとく失敗に終わっている。
ベトナムやアフガニスタンを見てもわかるように、他国が武力によってその国の国民を服従させることは無理なのだ。
ウクライナ国民がロシアの支配を拒絶する以上、降伏することはない。
この道理がわからないプーチンは、正気の沙汰とは思えないし、それを支持する国民も信じられない。
結局、無駄な戦費を使い、経済制裁により国民の生活水準を下げるこの行為を、ロシア国民も痛い目を見ないとわからないという事か。」

「日本がアメリカとの戦争が無謀である事を理解しながら、それでもなお、アメリカとの戦争に踏み切った最大の理由は、日本の石油輸入のほとんどを依存していたアメリカによる石油禁輸だった。
日本は何とかして外交による事態の打開を計ろうとしたが、アメリカは全く聞く耳を持たなかった。
結果として困窮した日本は、アメリカに一矢報わなければ立ち行かなくなった。
これが先の太平洋戦争開戦の簡単な経緯。

ロシアに経済制裁を課すのは一見、平和裏に相手を弱らせ白旗を挙げさせる手段に見えるが、過去の日本がそうであった様に、窮鼠猫を噛むの言葉通りロシアが武力による対応を始めれば核の脅威は拭い様も無い。
ましてロシアが最高に獰猛な鼠に成り得るのは言うべくも無い。
手の打ちどころを誤れば、第三次世界大戦になり、憲法9条を掲げる日本とて否応なく巻き込まれる事をよもや忘れてはならない。」

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