「10代の注目度が高いのに…」サブスク解禁しない山下達郎に音楽業界の嘆き
今年、山下達郎(69)が精力的に活動しています。
6月に11年ぶりのオリジナルアルバム『SOFTLY』を発売し、3年ぶりのホール・ツアーをスタートさせました。
そして、今まで滅多に露出しなかったテレビにも顔を出しているのです。
『クリスマス・イブ』などのヒット曲を持ち、近藤真彦の『ハイティーン・ブギ』やKinKi Kidsの『硝子の少年』など提供曲も大ヒットさせたレジェンドの登場は、思わぬ反響を呼んでいます。
目次
10代の視聴率がいい
テレビ局関係者が明かします。
「6月に2週連続で出演した『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)で、10代の視聴率が良かったんですよ。まず、世帯視聴率は普段3~4%くらいなのですが、山下達郎さんの2回目出演となった6月26日放送分は5.0%(ビデオリサーチ調べ/関東地区。以下同)で、1回目の前の週より高かった。だいたい放送を分けると、2回目は下がるケースが多いので、これは珍しいことです。
しかも、26日は13歳から19歳(T層)の視聴率がいつもと比べ、かなり上がっていたんです。特にT層の低かった6月12日の回と比べると、元の数字が小さいとはいえ10倍以上でしたから、この放送で山下さんに興味を持った若い人がかなりいたのだと思います。山下さんの出演した回は、優秀な番組に贈られるギャラクシー賞の月間賞も受賞しました」
『関ジャム』では動画ではなく、音声と写真のみの出演で、自らの半生を語りながら、理論的に音楽を分析。
山下の精密さに舌を巻いた視聴者も多かったはず。
サブスクを全曲解禁した矢沢永吉と、サブスク解禁をしない山下達郎。
結論は真逆だけど、根本の考え方は近いと思う。
どちらも自身の活動スタンスや価値観を重視した上での判断かつ、音楽業界の未来も考えた上での判断という部分では。— むらたかもめ (@houroukamome121) August 1, 2022
サブスクを解禁しないリスクも
「10代の視聴率が高かった」と伝え聞いた音楽業界関係者が声を潜めながら話します。
「山下さんはネットのインタビューで、サブスクについて『恐らく死ぬまでやらない』と話していましたよね。本当にもったいないと思うんです。今の若い人はCDを買わないですから、彼らにとってサブスク解禁していないアーティストは“いない”も同然なんです。せっかく10代が興味を持ってくれたのに、チャンスを逃しているのではないか、とも感じました。
もちろん、サブスクへの考え方は人それぞれでいい。サブスクで新譜を出さなくてもいい。一生懸命作ったニューアルバムを聞き放題に含められて、しかも気に入らなかったらすぐ次の曲に飛ばされるのはアーティストにとっては嫌なことだと思います。でも、せめて旧譜は聞けたらいい。20年前、30年前のCDアルバムが今、急に売れることってないですからね。
サブスクをきっかけに、新譜CDを買う人が増えることも考えられますよ。サブスクを解禁しないと、違法アップロードされる確率も高くなり、それだとアーティストの収益はゼロですしね」(以下同)
確かオケは山下達郎さんがガッツリからんでるんですよね。上手く言えないけど音の「奥行き」がスゴすぎて。可聴範囲以外でも音が響いてそうな感じ。サブスクももちろん大切だけれど、フィジカル盤の「音の再現度」の高さを痛感しました…。達郎さんが「絶対サブスクはやらない」言ってた理由はこれか。
— ちー@KinKi Kids大好き (@chiakinki) August 2, 2022
そもそもCDプレイヤーがない
サブスクによって埋もれていた曲が脚光を浴びた例もあります。
2020年12月、松原みきの『真夜中のドア~stay with me』がSpotifyのグローバルバイラルチャートで18日連続世界1位を記録しました。
1979年に発売され、松原自身は2004年に44歳の若さでこの世を去っていますが、天国で嬉しい知らせを聞いたに違いありません。
「山下さんは本当に素敵な曲ばかり生み出していますから、その曲には未来永劫残ってほしい。でも、サブスクを解禁しないと、数十年後には誰も知らない曲もたくさん出てくるかもしれない。残念ながら、今の時点でCDを聞く人は相当減っているのが実情です」
CDの売り上げは1998年をピークに下がり、2010年代前半にはAKB48などが握手券付きで販売したことでその減少スピードを抑えてきましたが、近年は最盛期と比べると半分以下に落ち込んでいます。
そしてCDを補うように、サブスクの売り上げが伸びているのです。
「今もレコード会社の年配の方たちの中には、まだまだCDを売ろうとして、サブスクを否定する人たちもいます。確かにCDのほうが利幅が大きいので、その気持ちはわからなくもない。でも、今の10代や20代はCDプレイヤー持っている人自体が少ない。家電量販店に行っても、CDプレイヤーやコンポの売り場面積がかなり小さくなっている。
CDプレイヤーのついていない新車も結構あります。若者は車に乗らない人が増えているけど、40代以上は車好きがまだまだ多いし、CDを聴く層でもある。でも、CDプレイヤーがないとなれば、徐々にCDから遠ざかる。普通に生活をしていて、世の中がCDを求めていないことを実感しています。山下さんクラスの大物がサブスクを解禁してくれると、他のミュージシャンへの波及効果もあるので、業界を盛り上げる意味でも挑戦していただけるとありがたいのですが……」
山下は7月下旬に新型コロナウイルス感染が判明し、コンサートの開催が見送られているのですが、現在は快方に向かっているそう。
8月1日には矢沢永吉(72)がサブスクを全解禁しました。
名曲の数々が永久に残るように、山下がサブスク解禁という決断を下す日は来るのでしょうか。
山下達郎がサブスク解禁しないことについての記事も3日に1回くらい見てる気がする
— showgunn (@showgunn) August 6, 2022
ネットの声
「矢沢永吉のサブスクリプション解禁の記事を読んで、真反対ではあるけど、それぞれの音楽の思いは感じます。ただ、山下達郎はミュージシャンですが、サウンド職人の面が強いので、こういう発言かと思います。日曜にやってるサンデーソングブックを聞いていれば、そのかたくなな姿勢は十分に理解できると思います。(絶対にチャートに出てきている曲はかけないので、面白い曲が聞けて楽しいです。)」
「初めて達郎さんのアルバムを買いました。CDを買って、CDプレイヤーが壊れてたことと、PCの外付けCDプレイヤーさえも壊れてたことに気づきました。それだけサブスク主流になってしまってたということです。
しかしながら、達郎さんのアルバムを聴くためにCDプレイヤーを購入。経済回しました。それほど、こだわりの音楽職人が作り出すアルバムを聴いてみたかったということです。それがきっかけで、今は数少ないCDショップに足繁く通うようになり、達郎さんのアルバムを6枚購入し、他のアーティストさんのアルバムも何枚か買いました。まさしく達郎効果です。」「諸々、達郎さんらしくていいですね。
長年、サンソンを聞いているファンなので達郎さんの拘り、信念については、それなりに理解しているつもりです。
御年から考えても新アルバムはラストのアルバムになるか、ラスト前のアルバムになるか、ともかく、数あるアルバムのひとつではない特別なアルバムだと、こののち認識されると思います。」