AT車の進化…速さも燃費もMT車に勝る

「速さ」だけじゃなくて「燃費」でも「MT車」が劣る時代に! 恐るべき「オートマ」の進化とは

現代のドライバーはそれほど気にしていないのかもしれませんが、ひと昔前、MTとATでは、いろいろな部分、領域で違いが見られていました。

歴史をたどれば、手動操作でギヤを切り替えるMTが原点で、時代の流れのなかで技術が進歩し、その結果、変速作用を機械が自動的に行うATが考え出されたことはよく知られるとおりです。

「ATはMTよりも燃費が悪い」が常識だった

クラッチペダルを踏まず、シフトレバーを操作する必要もないATは、自動車の運転操作を簡略化し、ラクに運転が行えるメカニズムとして一大革命でした。

しかし、実用化当初のメカニズムは、MTと較べて動力伝達上の損失が大きかったのです。

ATのメカニズムは、今も昔もその主流は変わらず、封入したオイルによって動力を伝達するトルクコンバーター+機械式変速機の方式で、クラッチの役割を果たす部分がオイル(液体)であるため流体継手とも呼ばれています。

ただし、トルクコンバーターは、入力側と出力側の回転差を利用してトルクを増幅する働きがあるため、単純な流体継手とは異なっているのです。

さて、このトルクコンバーターを使ったAT機構だが、エンジン出力をトルクコンバーターのオイルによって伝えているため、入力側より出力側が数パーセント前後低い回転数となってしまいます。

つまり、伝達ロスが発生するわけで、このロスの分が、機械的に1対1でエンジン出力を伝達しているMT方式より燃費を悪くしていました。

ロックアップ機構+多段式でトルコンATの燃費はMTと遜色ない

逆の言い方をすれば、AT方式から見た自身のウイークポイントは、損失による燃費性能の悪さで、これの改善は早い段階から取り組まれていました。

トルクコンバーターのウイークポイントが、オイルを介した動力伝達にあるのなら、オイル(流体)を介さない動力伝達とすればよいのでは、という考え方が生まれたのです。

これを具体化した方式が、ロックアップ機構を持つATです。

エンジンとミッションを直結にする「ロックアップクラッチ」を設け、いくつか設定した運転条件がそろった場合に、トルクコンバーターをパスしてエンジンとミッションをダイレクトにつなぐシステムを考え出したのです。

初期のロックアップ機構は、最上位ギアのみに作動するシステムでしたが、技術革新が進み、全段ロックアップ機構を備えるAT方式が確立しました。

もちろん、トルクコンバーターが作動する領域はあるのですが、巡航時やギヤをホールドしたときなどはロックアップクラッチを働かせ、MT車と同じ動力伝達が行える方式となっています。

このため、入力側と出力側で回転差が生じることもなくなり、エンジン出力はロスなく100%トランスミッション側に伝達するることが可能となりました。

もちろん燃費性能は改善され、MT車と遜色ない数値をマークできるようになったというわけです。

MTよりも速く走れるトランスミッション

トランスミッションは、長らくMT方式が最高性能と見られてきました。

しかし、トルクコンバーター式ATでもロックアップ機構の組み込みによりMTと遜色ない燃費性能を確立することに成功しています。

さらに純然たるスピードを競うモーターレーシングの世界でも、デュアルクラッチ方式の考案により、こちらのほうが「速く走れる」トランスミッションとなっています。

技術の進化は、これまでの常識を逆転することも可能、と驚かされてしまいます。

ネットの声

「現在MT乗り、CVTも所有しています。確かに単純な車の性能だけで言えば、燃費はCVTに軍配が上がるような気がします。しかし実際はドライバーの「乗り方」次第のような気がします。CVTでカタログ数値に近づけた運転をしようとした場合、初速が遅くなりすぎ(実際そういう方いますが)るため、交通の流れに合わせた場合は燃費が多少落ちます。一方で、MTも操作の熟練度により燃費が大きく左右されるため、実際問題として考えるならば、乗り方次第になるのかなと思います。私個人としては、思い通り操れるMTが楽しくて乗ってますし、MTがどんどん減っていくのは悲しいと感じています。」

「AT車は、近年、多段化してる車種が多くなって、実用回転域を低くしてるってのもある気がする。長らくMT車に乗ったけど、普通は5速で多くても6速だから、それよりも多段なAT車よりも不利になってると思う。6速MT車に乗った事ないけど、バックギアの入れ方って車種によって異なるみたいですが、MT車乗りには憧れで、過去に他車種からの移植を考えた事があります。」

「MTでもATでもヘタクソが運転すれば燃費は悪くなります。ですが、MTが乗り手の操作次第で燃費を良くできる余地があるのに対し、ATでは乗り手の意図しない制御が入ってしまうため、どうにもならない限界がありますね。上手い人が運転すれば、いまでもMTの方が燃費が良くなることに変わりないと思います。」



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