読書の秋にビートルズ関連書籍はいかが 『アンソロジー』、『ザ・ビートルズ史』などは必読
ビートルズが「ラブ・ミー・ドゥ」でレコード・デビューしてから今年で60年。そして解散してから52年になります。
有名アーティストは数多(あまた)いるが、ビートルズほど関連書籍が出版されてきたミュージシャンも珍しいでしょう。
そのビートルズ関連本の中で、独断と偏見で必読と思われる作品を紹介します。
目次
ビートルズ正史から
まずはビートルズの歴史を俯瞰(ふかん)するのにはうってつけの「正史」である『The BEATLES アンソロジー』(リットーミュージック東京)。
4人の言葉で歴史をたどる大著で、写真も多く使われているのですが、「検閲済みのクリーンな歴史」という感も。
公式写真集『The Beatles GET BACK』は彼らの会話が網羅されており興味をひかれます。
世界的なビートルズ研究家であるマーク・ルイソンによる『ザ・ビートルズ史〈誕生〉』(河出書房新社)の上下巻は必読でしょう。
あたかもその場に著者がいたような描写は、いかに綿密に取材がなされているかをうかがわせます。
2013年から始まったルイソンのライフワークはまだハンブルク時代が終わったばかり。
続巻が待たれるところです。
同じくルイソンによる『ザ・ビートルズ レコーディング・セッション完全版』(シンコーミュージック・エンタテイメント)は、グループの日ごとの詳細なレコーディング記録が分かる手引き書で、これも手元に置きたい一冊です。
ビートルズの歴史を年ごとに詳しく知りたい人には藤本国彦責任編集の『ビートルズ・ストーリー』シリーズ(ファミマ・ドット・コムのちに音楽出版社)がおすすめ。
同じ藤本による『365日ビートルズ』(扶桑社)はビートルズ版「日めくり」といった体で、楽しいのです。
歌詞に目を向けてみる
ビートルズの歌詞に焦点を当てた書籍としては、スティーヴ・ターナー著『ビートルズ全曲歌詞集』(ヤマハミュージックメディア)と、ハンター・デイヴィス著『ザ・ビートルズ リリックス 名作誕生』(TAC出版)を挙げておきます。
参考資料としては、ビートルズ史を彩る重要人物1,000人を網羅した『ザ・ビートルズ人物大事典』(日経BP社)と、ライブ活動を記録した『ザ・ビートルズ全パフォーマンス徹底解剖』(シンコーミュージック・エンタテイメント)が役立つでしょう。
サウンド面の文献としては、プロデューサー、ジョージ・マーティンによる『耳こそすべて ビートルズ・サウンドを創った男』(河出文庫新社)、エンジニア、ジェフ・エメリック著『ザ・ビートルズ・サウンド最後の真実』(白夜書房)が面白いです。
ビートルズ誕生前後の事情については、初代マネージャーのアラン・ウイリアムズによる『ビートルズはこうして誕生した』(草思社)。
リンゴ・スター加入前のドラマー、ピート・ベストによる『もう一人のビートルズ』(CBSソニー出版 ※現在はエムオン・エンタテインメント)が裏話満載です。
ジョン・レノンの異父妹であるジュリア・ベアード著『ジョン・レノン マイ・ブラザー』(CBSソニー出版)も興味深いです。
ビートルズ育ての親ともいえるブライアン・エプスタインを描いたレイ・コールマンの『ビートルズをつくった男』(新潮文庫)も手に取ってみたいところ。
ハンブルクで知り合い4人に大きな影響を与えたアストリット・キルヒヘアへのインタビューをもとに小松成美が書いた『アストリット・キルヒヘア ビートルズが愛した女』(角川書店)は知られざるエピソードが満載の重要本です。
ジョンの最初の妻シンシアによる回想録『ジョン・レノンに恋して』(河出書房新社)も若きジョンの素顔を描き出しています。
1966年のビートルズ来日関連本では、宮永正隆著『ビートルズ来日学』(DU BOOKS)が細部にまでこだわりを見せた力作です。
それぞれの関連本
4人それぞれの関連本に目を移そう。ビートルズ解散後にジョンが米ローリング・ストーン誌と行ったインタビューをまとめた『レノン・リメンバーズ』(草思社)、
『ジョン・レノン&オノ・ヨーコ プレイボーイ・インタビュー1980完全版』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、
『ジョン・レノン ラスト・インタビュー』(中公文庫)、『ジョン・レノン 音楽と思想を語る』(DU BOOKS)は重要文献でです。
その他のジョン関連本としては、愛人だったメイ・パンによる写真集『ジョン・レノン ロスト・ウィークエンド』(河出書房新社)、ジョンの主夫時代のカメラマン西丸文也による、軽井沢でのショットなど珍しい写真が満載の『ジョン・レノン家族生活』(角川書店)、
ジョンがビートルズ時代の自作などについても語っている、ケン・シャープ著『メイキング・オブ・ダブル・ファンタジー』(シンコーミュージック・エンタテイメント)を挙げておきます。
ジョンの死後に出た暗殺関連本では、時間の流れを追って細かい所まで気配りがされているジョン・ウィナー著『Come Together ジョン・レノンとその時代』(PMC出版)は読み応えがあります。
フィル・ストロングマン&アラン・パーカー共著『ジョン・レノン暗殺』(K&Bパブリッシャーズ)や、暗殺者マーク・チャップマンに焦点を当てて迫る、ジャック・ジョーンズ著『ジョン・レノンを殺した男』(扶桑社)という本(現在は文庫本で上下巻)も。
ポール・マッカートニー関連本には、バリー・マイルズ著『メニー・イヤーズ・フロム・ナウ』(ロッキングオン)、ポール・デュ・ノイヤー著『ポール・マッカートニー告白』(DU BOOKS)、
フィリップ・ノーマンによる『ポール・マッカートニー ザ・ライフ』(角川書店)といった作品がある。最近話題になっているのは、ポールが自身の楽曲について語っている『ザ・リリックス』(リットーミュージック)です。
ジョージ・ハリスン本には『ジョージ・ハリスン自伝』(河出書房新社)があるが、ビートルズや他の3人のことにはほぼ触れておらず、ジョンが「取るに取らないミュージシャンのことをあれこれと書いているのに、俺のことには全く触れていない。傷つけられた」と語ったほど。
ジョージが亡くなるまでの動静を詳細にカバーした力作『ジョージ・ハリスン全仕事』(プロデュース・センター)が参考になります。
リンゴ・スターの関連本、特に写真集は何冊かあります。
ネットの声
「「ビートルズ派手にやれ!」アラン・ウイリアムズ著が一番面白いと思う。ビートルズの無名時代は本当に貧しくて苦労していた事が良くわかる。「ビートルズ・ラブ・ユー・メイク」も面白い。 ビートルズのメンバーのとてもプライベートな事が書かれている。ジョンとポールが曲作りを始めた頃はジョンはメロディの始めの部分を簡単につくることが出来たけど転調していく部分になるといきづまる事が多かった。一方ポールはまんなかの八小節を書くことに特別な才能を持っていた。と書かれているのが興味深い。」