クルマは重量…どうしてバイクの免許は排気量で区切られてるの?

クルマは排気量関係なく運転できるのに…なぜバイクは排気量で区切られているのか?

一般的に、クルマは普通自動車免許を取得すれば、排気量に関係なく運転することができます。

しかし、現在の二輪車の免許は、排気量制限のない大型自動二輪、400ccまでの普通自動二輪、125ccまでの二輪小型限定、50ccまでの原付免許と、排気量別に分けられています。

これは、いったいなぜなのでしょうか。

バイクとクルマの免許では、区切られている理由が異なる?

現行のクルマの免許の区分けは普通、準中型、中型、大型免許の4種類です。

クルマの免許の区分けは、エンジン排気量ではなく、車両総重量や最大積載量、乗車定員で分けている点が挙げられます。

つまり、クルマの免許は排気量よりも、用途で区分けがされているといえるかもしれません。

クルマとバイクの区分けについて、歴史的な観点から紐解いていきましょう。

実は、クルマもバイクも運転するのに免許が同じだった時代があります。

そもそも、運転に免許が必要になったのは1907年からといわれており、その後の1933年に「自動車取締令」が改正され、「運転免許」という名前が登場しました。

それ以前までは、甲種や乙種、就業免許と呼ばれていたようですが、これに伴い、乙種が「普通免許」、甲種・就業は「小型免許」という名称になりました。

この小型免許は第1種~第4種に区切られており、四輪、三輪、二輪車が運転できたようです。

そしてその後、数回の法改正で運転免許の区分が細分化され、1949年に「二輪車免許」と呼ばれる免許が誕生します。

免許は2種類に分かれており、排気量制限のない「自動二輪」と排気量150cc以下の「軽自動二輪」でした。

最初から排気量で区分けされていた

1952年には、軽自動二輪をさらに細分化して、排気量90cc以下の「原付許可」と250cc以下の「軽免許」に分かれます。

このようにバイクの免許は、初めから排気量で区分けがされていた免許といえるでしょう。

しかし、これに対してクルマの免許は、1947年の段階では小型免許(第1種・第2種)、普通免許の3つに加えて特殊免許も含めた、合計4種類の免許がありました。

そして1949年には、道路交通取締法の改正により、小型四輪と自動三輪、軽免許(360cc以下)、普通免許の4種類に、けん引などの特殊免許を加えて5種類の免許に区分されます。

この段階で、すでに排気量を基準とした区分でなく、タイヤの数と用途で免許が分かれ始めています。

そして1956年頃からは、乗客を乗せるためのタクシー運転手のための二種免許や、トレーラーなどを引くためのけん引二種免許が創設されました。

1954年に現在に近い区分けに

1960年には道路交通法が施行されて、小型免許が廃止され、普通免許に統合されます。

その結果、三輪、普通、軽免許、特殊免許と一部の免許の名称と区分が変わり、1968年には複雑化した自動車の免許制度が整備されて、現在の区分けの基礎ができました。

このように、クルマの免許は用途に合わせて免許を創設したり、統合したりを繰り返しているというわけです。

一方のバイクの免許は、1954年に現在のバイクの免許制度に近い区分けが出来上がります。

まず、排気量90ccまで運転できる「原付許可」を、「原付一種許可(50cc以下)」と「原付二種許可(125cc以下)」に分けた結果、バイクの免許は排気量制限のない「自動二輪」排気量250cc以下の「軽免許」、「第二種許可」と「第一種許可」の4種類に分けられましたが、1965年には「自動二輪」と「原付」の2種類のみとなりました。

そして1965年からは、バイクを運転する際のヘルメット着用が推進されましたが、当時は努力義務であり、ヘルメットを被るかは自己判断でした。

しかし、数年ごとにヘルメット着用の基準が強化され、1986年には原付を含め、全てのバイクでヘルメット着用が義務化されました。

1986年には原付を含め、全てのバイクでヘルメット着用が義務化されました

また、1975年には排気量制限のない自動二輪免許を「大型自動二輪」と、排気量400cc以下の「普通自動二輪」に分けられたほか、大型自動二輪免許は、普通自動二輪の限定解除をする形にしました。

その試験は合格率は1~2%だったといわれるほど非常に難しく、手に入りにくい免許だったようです。

そこまで厳しくした理由は、当時は大排気量のバイクで暴走するライダーが多く、問題が深刻化していたため、これを抑える必要があったからと言われています。

そして1995年には規制緩和がされ、教習所でも大型自動二輪免許が取得可能になりました。

2005年になると、オートマ限定や二輪小型限定が創設されて、現在の7種類の免許に分かれます。

クルマとバイクの免許区分の違い

クルマの免許が今の区分けになったのは、つい最近のことです。

2007年に中型免許が追加され、2017年には準中型免許が新設されました。

現行の4輪の免許の区分けは、普通、準中型、中型、大型、小型特殊、大型特殊免許の6種類となっています。

クルマに準中型免許が新設された理由は、運送業界のトラックドライバーの不足の解消や、交通事故削減を狙って導入されたものです。

このように、クルマの免許は用途や社会的な需要に合わせて、免許が区分けされています。

しかし、バイクの免許の場合は、二輪免許が出来た当初から排気量で区分けがされており、それが今も続いていることが、クルマとバイクで区分が異なる要因といえます。

バイクの免許は排気量で、クルマの免許は用途で分けられています。

この2つの違いの背景にあるものは、免許が創設された当時の区分けを引き継ぎながら変化したものと、用途ごとに分ける必要があったものの違いといえそうです。

ネットの声

「1975年の普通自動二輪と大型自動二輪とに区別して限定解除としたのが大きかった。背景には750クラスで暴走行為をするグループや個人が多く事故も多発していたからでバイク販売も国内は750までに制限していたし、リッターバイクは外車と同様に輸入扱いとしていた。その後高度経済成長も終わりバイク人気も下降し規制緩和で大型自動二輪免許も取り易くなりリッターバイクも国内販売可能となった。事故件数や国内販売のバランスを取りながら免許制度も変化していくので現在の免許制度も今後の状況次第では変わっていくと思う。ただ単純に排気量の大小で事故の確率が変化するとは思えない、最終的にはライダーの技量とバイクで公道を走るという事はどういう事かの理解度にかかっていると思う。」

「バイクの排気量の差で、乗り方が大きく異なる部分は「ブレーキング(減速)」
基本的には排気量が大きくなると、車格と質量も大きくなる。
質量が大きいと、同じ速度からの減速は時間がかかる。
また、コーナリング時に遠心力が強くなり質量が大きいぶん、同じ速度でも小回りが出来なくなる。
また排気量が大きくなれば、出力トルクも大きくなり、車体を加速させる時間が短くとも車速を上げることが可能になる。
小排気量バイクは軽いぶん、ライディングで一番テクニックが必要なブレーキにかける時間が短くて済むし、加速も鈍いので、大排気量バイクよりは乗るのが簡単。コカしても、起こすの簡単。値段も安いから買うのも簡単。
だからと言って、大排気量バイクに乗ってるから必ずしも上手とは言えない方も多いのが現実。」

「バイクは排気量の大小が出力の大小につながり、出力の大小は取り扱の難易度に結びつくので、排気量での区分。
四輪車は排気量での出力の大小よりも車体や車重の大小の方が取り扱いに影響するので、排気量ではなく大きさや車重での区分。
ってことでしょう。

四輪は海外(欧州)の区分に合わせて普通自動車の重量上限の引き下げ、中型自動車・準中型自動車の新設を行ったわけですから、バイクも海外の区分に合わせれば良いのにね。負担が減るメーカーはそうしたいでしょうね。」



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