クルマのラジオチューナーはなくならないよね…災害時に役立つのが理由?

クルマの「AM・FMラジオ」はなぜ残る? CD/MDは廃止進む! 災害時にも役立つ存在? ラジオが必要な理由とは

かつてクルマで音楽を聞くといえばカセットテープやCD、MDでしたが、音楽環境の変化により、カーナビ・オーディオメーカーがそれぞれのスロットを廃止する流れも出てきています。

最近のクルマはBluetooth搭載!ラジオが残っている理由は?

しかし、このような時代にあってもAM/FMといったラジオ機能は廃止されていません。

なぜ、ラジオだけがクルマに生き残っているのでしょうか。

ラジオ機能の歴史は、1920年代初頭にアメリカでユーザーが家庭用ラジオを改造してクルマに搭載したことから始まり、その後1930年代にはクルマ用ラジオ(カーラジオ)が登場したといわれています。

その後、カーオーディオとしては、カセットテープやCD、MD、MP3、Blutoothと機能拡大やディスプレイ一体型となるディスプレイオーディオの登場など日々進化してきました。

しかし最近では、CDやMDのスロットを廃止し、Bluetooth接続によりスマートフォンから音楽を流す機能に特化した商品も登場しました。

また昨今では自動車メーカー純正のディスプレイオーディオも登場し、さまざまなコネクテッドサービスや車両情報を集約する重要な存在になっています。

災害時の情報収集として

そうしたなかでも約100年前から存在するラジオが生き残っている背景にはどのような理由があるのでしょうか。

国産メーカーの商品企画担当者は次のように話しています。

「ラジオ機能が残る大きな理由としては、何かしらの災害時の情報収集として役立つからという部分があります。

AMとFMはそれぞれ特性が異なっており、簡単にいえばAMは電波を遠くまで伝えることが出来るもののノイズが入ったりします。

一方のFMは遠くまで電波を伝えづらいですがノイズなどの影響は受けづらいなど、異なるため何かあれば両方の電波帯で放送することでより多くの人にその情報を伝えられます」

また、カーナビやカーオーディオを得意とするパイオニアの担当者は次のように話します。

「カーナビではラジオ機能を外すことができません。
ハイウェイラジオの交通情報はAMの電波を活用していますし、リアルタイムに情報を届けるFM VICSはFMの電波を使っているので、ラジオ機能は切っても切れないものなのです。
また海外においてもラジオ機能はユーザーにとって必須機能なので、当面は廃止することはないと考えています」

このように時代の変化に合わせて機能の選択がおこなわれているなかで、ラジオ機能は単純に音楽や娯楽といった情報を得るだけでなく、渋滞情報や災害情報など必要な伝達手段として今後も残り続けていくようです。

CD/MDスロット無いカーオーディオ市場はどうなっている?

前述の通り、最近ではCDやMDスロットを設けない商品(1DIN)も流通しています。

前出のパイオニアもそのひとつですが、現状の市場動向について「ここ2年ほどは半導体不足の影響で大幅に生産を減らしているため、正確な市場動向は把握できない」と前置きしたうえで、1DIN向け製品について以下のように説明します。

「市場自体は若干の縮小傾向はありながらも、大きな落ちはなく一定の規模で安定しているという印象です。
しかし日本国内では、もともとカーオーディオの一定の市場が安定して存在しています。
1DINは2DINに比べて適合車種が増やせるほか、筐体部材が少なくて済むというメリットがあり、パイオニアでは1DIN向け商品をカーオーディオのメインにしています」

また前述の1DIN商品を使わずとも音楽を聞くだけであれば、純正カーナビのBlutooth接続でも可能ですが、あえて専用商品を購入する理由にはどのようなものがあるのでしょうか。

首都圏のカー用品店のオーディオ担当者は次のように話しています。

「スマホ接続が出来る1DINを購入されるお客さまは元々、カーナビが付いていない、カーナビが付いていても古くスマホと接続出来ない、または2DINを設置できないといった事情があります。
また最近では、2DINカーナビは要らないけど同乗者がYouTubeなどを見たい、といった理由から購入されるケースです。
1DINにも種類が存在し、スマホをディスプレイ代わりにするタイプや、ディスプレイオーディオ付きのものなどいくつか展開しています」

このように、スマートフォンが1台あればナビ機能、オーディオ機能、動画機能を賄える時代ではあるものの、クルマ本体のスピーカーから音楽を聞くことや、運転に集中してナビ案内を使うには、1DINがあると便利なのかもしれません。

なお、これらの1DIN商品でもAM/FMのラジオ機能は標準装備されており、ラジオはカーライフとは切っても切れない存在なのです。

ネットの声

「AMラジオを廃止するという話が進んでいるようですが、これは本当に間違った政策だと思います。
電波が回り込みやすくノイズに強いアナログAMラジオは山間部や移動する車からの受信には絶対必要です。ライフラインの一つと認識すべきです。
デジタルは受信状態が悪くなると、エラー訂正できなくなった時点で全く聞こえなくなります。アナログならノイズに埋もれながらがんばれば聞きとれるような状況でも、デジタルの場合無音です。
電波周波数の有効利用は重要なことですが、音質なんかよりももっと大事なことがある。」

「長距離運転してる時、AMラジオの災害情報や道路交通情報はとても役に立ちます。
昔、FMラジオから流れる曲で知ったアーティストを今でも聞いていたりしています。
ラジオは運転しながらでも情報を安全に得られるメディアなので、これからもカーオーディオに標準装備のままで良いと思います。」

「制約はあってもAMFMは送信機と受信機のみ互いに機能していれば情報伝達できます。送信機も受信機も教われば作れるシンプルな技術です。
昔はそれ以上でもそれ以下でもない事ですが、どこかひとつの障害で全てが成立しなくなるネットに比べるとそれは極地とも言えるスペックかと思います。AMもFMもそれぞれに特性があり互いを補完してますので両方残すべきものだと思います。
もちろんこれらを超える「至極」は求め続けるべきだと思いますが、例えば紙を切るハサミに亜流が生まれてもずっと形を変えないのと同じく、生まれるのと同時に「至極」を達成している道具というのは沢山あると思います。そこへのこだわりは決してノスタルジーではなく、その精査を間違えてはいけないと感じます。」

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