2000年生まれ、21歳のZ世代…「1.5人で1人の高齢者を支える」暗澹たる未来
今年、21歳となった2000年生まれのZ世代。
「オンラインが当たり前」「デジタルネイティブ」と呼ばれるこの世代の人たちが生まれた2000年は、どのような年だったのでしょうか。
そして、これからどのような時代を生きることになるのでしょうか…。
目次
2000年生まれのZ世代…この年に始まった制度とは
最近、何かと目にする「Z世代」というワード。
1990年後半から2000年代に生まれた人を指します。
なぜ“Z”なのかというと、アメリカで1960~70年代に生まれた人を「X世代(ジェネレーションX)」と呼ぶようになったことに起因します。
おおよそ10年単位で、次世代をアルファベット順に表すようになったというものです。
物心ついたときには、インターネットが当たり前。
パソコンよりもスマートフォンを駆使し、情報収集の中心はSNS…デジタルネイティブ最初の世代といわれているのがZ世代です。
そんなZ世代にあたる2000年生まれは、2021年に21歳になる人たち。
彼らが生まれた年は、西暦2000年であることをコンピュータが正常に認識できなくなるという「2000年問題」に注視するなか始まりました。
4月2日に小渕首相が体調不良で緊急入院し、その3日後には森連立内閣が発足。
シドニーオリンピックが開催され、女子マラソンで高橋尚子が女子柔道で「最高でも金、最低でも金」という名言を残した田村亮子が金メダルを獲得しました。
一方で経済では10月に景気の山を越え、景気後退局面に。
7月には大手百貨店そごうが事実上倒産。
関連会社を含むグループ全体の負債総額が2兆円超。
さらに10月には、千代田生命や協和生命など、倒産が相次ぎました。
音楽業界では14曲のミリオンヒットが生まれ、なかでもサザンオールスターズの『TSUNAMI』が300万枚に迫る大ヒットを記録。
TVドラマでは『ビューティフルライフ』が最終回で41.3%、『やまとなでしこ』が34.2%を記録。
大きな話題になりました。
そんな2000年に忘れてならないのが、4月からスタートした「介護保険制度」。
それまでは介護サービスは、公費でまかない市町村で提供する公共サービスでしたが、保険料を財源に加えた社会保険方式に切り替えることに。
増大続ける介護需要に対応することになったのです。
2040年に40歳、2065年に65歳を迎える2000年生まれZ世代…このとき日本は
これから社会に出る2000年生まれのZ世代の人たち。
最初に手にする給与からは、所得税や住民税のほか、健康保険料などが天引きされます。
厚生労働省『令和2年度賃金構造基本調査』によると、2020年、大学卒の基本給(所定内給与額)は22万6,000円で、手取り給与は17万円ほど。
多少の上下はあるでしょうが、2000年生まれの人たちも大卒で手にするのは、おおよそこれくらいの金額でしょう。
そして今の制度のままであれば、40歳になる誕生月の翌月から、介護保険料の天引きが始まります。
また公的年金保険料(国民年金、厚生年金)は、60歳、または65歳で基本的に納付が終了しますが、介護保険料は一生涯払い続けなければなりません。
40~64歳の場合、介護保険料の計算方法は、加入している医療保険で変わります。
会社員の場合、会社経由で健康保険に加入していますが、介護保険料率は、制度開始以来上昇し続けています。
全国健康保険協会の場合、2000年は0.6%でしたが、2021年は1.80%でした(関連記事: 『年々負担が重くなる…家計における「税金+社会保険料」率の推移』 )。
日本の高齢化は止まらず、2020年の高齢化率は28.9%で現役世代2人で1人の高齢者を支える社会。
2000年生まれのZ世代が40歳を迎える2040年には高齢者率は35.3%、現役世代1.5人で1人の高齢者を支える社会になるといわれています。
そして2000年生まれZ世代が65歳を迎える2065年。
日本の総人口は9,000万人を割り込み、8,808万人になると推計。
約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上という超高齢化の世の中で、現役世代1.3人で1人の高齢者を支える時代になっているといわれています。
このような予測から、いまよりも介護保険料の負担は増大。
むしろ、2000年生まれZ世代が高齢者となるころには、現行の介護保険制度や公的年金制度が維持されているという保障はないといえるかもしれません。
前途多難な2000年生まれZ世代の未来。
社会人になった途端、定年後を見越して資産形成を始めなければ遅すぎる……そんな厳し過ぎる時代を生きる人たちといえそうです。
ネットの声
「就職氷河期世代を放置したので第3次ベビーブームは起きなかった。だから少子高齢化が加速。氷河期世代の初期は50才前後。氷河期世代が60代、70代になったら日本はどうなるかな。年金、社会保障はどうなるかな。増税されるから決して他人事ではない」
「現役世代と高齢者の定義が変わるので必ずしも当てはまらない。2065年には70歳定年、年金は75歳から支給ということにすれば、3.9人で1人の高齢者を支える計算で年金制度は維持される。いずれにしても暗澹たる未来だが。」
「昔の人は、60はもう腰も曲がった老人だったけれど、医療の発達や栄養面も改善されているから、まだまだ若いし働くよね。でももう日本には仕事が少なくなってきているから、老人と若者が仕事を取り合う様になるだろうな。」