裏側を告白…バチェラー出演者はマインドコントロール下に置かれていた!?

「バチェラー」出演者が制作現場の“ウラ側”を告発「私たちは異国で隔離され、“マインドコントロール”下に置かれていた」

アマゾンプライムビデオの恋愛リアリティ番組「バチェラー・ジャパン」をめぐって不穏な動きが起きています。

配信が終わったばかりのシーズン4に出演した女性が、“出演者の人権が守られていない”と、SNS上で制作側への批判を繰り返しているのです。

収録現場で何が起きていたのでしょうか…。

シーズン4まで到達した日本版「バチェラー」

「『自分から飛び込んで行ったんだから仕方ないんじゃない』と言う人もいました。けれど、私が目にした現場は、想像していたリアリティショーの許容範囲をはるかに超えたものでした。出演者の人権を軽視した制作の実態に気づきながら黙っていていいのだろうかと悩みに悩み抜き、Twitterで告発を始めました」

こう語るのは、「バチェラー・ジャパン」シーズン4に出演した社会学者の松本妃奈子さん。

「バチェラー」はアメリカで2002年にスタートし、30カ国以上でローカル版が制作された世界的に人気の恋愛リアリティ番組です。

旅先に集められた20人前後の女性たちが、“バチェラー”役を務める才色兼備の男性のハートを射止めるべく、恋愛バトルを繰り広げます。

エピソードを重ねるごとに徐々に参加者が絞られていき、最終回で1人の婚約者が選ばれ大団円を迎えるというコンセプトです。

日本でもアマゾンプライムビデオが制作した「バチェラー・ジャパン」シーズン1が2017年に配信されると、結婚を夢見る女性たちの間で爆発的な人気を得ました。

18年にシーズン2、19年にシーズン3が制作され、昨年は女性が男性を選ぶ“逆バージョン”の「バチェロレッテ・ジャパン」も配信。

2021年11月25日に配信が始まったシーズン4では、「バチェロレッテ」で最後に敗れた中国人実業家の黄皓氏(35)がバチェラー役を務めるとあって、スタート前から大きな注目を集めていたのです。

しかしその一方で、不穏な動きが起きていたのです。

泣き出した参加希望者

番宣が始まった10月上旬、出演者の松本さんが「番組は人権を軽視している」などと批判ツイートを始めたからです。

松本さんのTwitterアカウントには誹謗中傷コメントが殺到。

精神を病んでしまった松本さんは、最終話が配信された直後の12月中旬に「もう日本にはいられない」と海外へと旅立ってしまったのです。

それでは松本さんの話に入っていきましょう。

松本さんは17歳で国立大学に飛び級入学した後、家族社会学で修士号を取得した才媛。

留学経験も豊富で、アメリカでホワイトハッカーの認定も取得。

大手通信会社を経て、現在はコンサル業を営みながら、博士後期課程に在学しています。

応募したきっかけは、友達の勧めだったそう。

「番組を観たことがなかったんですが、結婚をゴールとしていると知って興味が湧きました。私は家族社会学者で結婚も研究テーマ。婚姻制度に対しては、LGBTQなどの属性によってメリットを享受することができない不公平さがあるという考えを持っています。そんな社会学者がバチェラーに参戦したら“面白いじゃん”って友達が言い出したのです」

書類審査を通過し、東京・新宿のオーディション会場に赴いたのが2020年1月ころのこと。

松本さんは周囲を見回し、自分との熱量の差に「びっくりした」と振り返ります。

「みんなガチガチで、“番組に出て有名になりたい”って意気込みがひしひしと伝わってきました。グループディスカッションで監督が、わざと試すように『はい、不合格』って女の子に投げかけたりする。すると、泣き出しちゃう子もいて……。一方、横のブースからは、『そんなんじゃダメ、もっと激しく行かなきゃ』と煽っている様子も聞こえてきた。やはり、恋愛バトルをするコンセプト上、女の子にアグレッシブな姿勢が求められるんだなと思いながら聞いていました」

「お前の水着姿は水着じゃない」

回を重ねるごとにオーディションは緊迫していきましたが、「社会勉強くらい」の軽い気持ちで参加していた松本さんは、待ち時間に椅子をくっつけて寝るくらい、終始リラックスして臨んでいたそう。

そんな素人っぽさと変わった肩書きが、監督らの目に止まったのでしょう。

松本さんは厳しい審査をくぐり抜け、見事合格。

しかし、当初は数カ月後に始まる予定だった収録は1年延期になってしまいました。

世界がコロナ禍になったからです。

ようやくタイのプーケットで収録が始まったのは、今年4月のこと。

旅行期間はどの段階で脱落するかによって変わりますが、3週間から2カ月。

これに現地入国後、10日間の隔離期間も加わる長いロケだったのです。

「まず現地に入ると、情報漏えいや参加者同士の探り合いなどを避けるため、スマホ、PC、電子ブックなどのデバイスは、スタッフたちに強制的に預けさせられます。もともと聞いていたし、番組の性質上、仕方ないことなのは分かります。でも、実際、いきなりスマホを取り上げられて、異国のホテルに10日間も缶詰めにされたらどうなるか、想像してみてください。収録が始まる前から、すでにストレスフルな状態となっていました」

松本さんは渡航前から、制作側に対する不信感を持っていたのです。

1年もの間、定期的に打ち合わせをする度に「体型の状況」について聞かれ、「痩せたほうがいい」と言われ続けてきたからです。

スタッフから笑顔で「お前の水着姿は水着じゃない」とも言われたこともあったそうです。

「本番では水着になるシーンが多い。容姿が綺麗な女性を並べたいという番組側の意図も分からないではないのですが、彼らの言動はルッキズムにもつながるし人権的に問題だと考えていました」

アドバイスという名の演出指導

もう一つ、松本さんが納得いかなかった言葉が、制作側がしきりに口にしていた「参加者」という呼び方でした。

「契約書を交わした段階から、『出演者という言葉を使うな』と言われ続けていました。あなたたちは自らの意思で参加を希望し、納得してやってきたわけで、『出演者』ではないと。自己責任で参加しているとしきりに強調するのです」

10日間の隔離を経て、収録はリゾートヴィラで始まりました。

すぐに気づいたのは、“アドバイス”の多さだったそうです。

「実際、リアルにやっているところはやっています。例えば、今回は収録現場に着くまで“バチェラー”が誰だか明かされていない設定でしたが、本当にそうでした。でも、ちょいちょい制作側の“お願い”が入っていくのです。女の子同士でおしゃべりしているシーンを撮っていても、スタッフがつかつかとやってきて『あの子の話をしてみたら』と」

撮影は1週間に1話のペースで進められていきました。

ここでも隔離中と同じで、

「感染防止のためヴィラから一歩も出ることが許されませんでした。携帯電話も奪われているので、外の誰かに連絡して相談することもできない。隔絶された空間の中で、私たちはストレスを抱えながらアドバイスに沿って撮影に臨んでいくわけです。ただでさえ私たちは、1年以上待たされて収録に臨んでいる。ようやくここまでたどり着いたんだから、生き残りたいって誰もが思うでしょう。結果として、スタッフに気に入られるように動かざるを得なくなる。マインドコントロール下に置かれているような状況でした」

お泊まり事件

リアリティショーという番組の性質上、仕方のない部分もあるでしょう。

しかし、行き過ぎたアドバイスが入った結果、出演者たちが“暴徒”と化すような“事件”まで起きてしまったというのです。

それは実際の配信でも、エピソード4で見所の一つとして描かれています。

バチェラー役の黄さんとデートをした参加者のひとりがキスを交わし、そのまま一夜を共にしたのです。

黄さんはすでに別の参加者ともキスをしていたのですが、「何もしていない」と“嘘をついていた”と全員に伝わってしまうのです。

女性たちは疑心暗鬼に陥り、自らリタイアする参加者が出るハプニングに発展しました。

「あれは演出ではなく、本当に起きたことです。配信では上手に切り取られていますが、実際は撮影が中断するほどの大騒動でした。黄さんというより、私たちは制作陣と激しくぶつかったのです。こんなの聞いていないって」

“お泊まり”や“キス”があるとは、参加者はまったく事前に聞かされていなかったというのです。

「事実、シーズン3までにそういった場面は一切ありません。番組を見ていてもわからないと思うのですが、後ろのほうでは何十人もの撮影スタッフが見守っています。そんな中、嫌だと思っている女の子がいたとしても拒否できると思いますか」

自らリタイヤを申し出た

実際、松本さん自身が、お泊まりやキスなどの性的行為をするよう求められたわけではないそう。

しかし、この騒動で彼女は「このような出演者の人権を軽んじた現場にこれ以上いられない」とプロデューサーに帰国すると訴え出たのです。

ところが、ロケに入る前から「旅を続けない権利もある」と言われていたにもかかわらず、いざ帰ろうとすると強く慰留されたというのです。

「振り切って帰ろうと思っても、交通手段のないリゾート地なので飛び出せない。ヴィラのスタッフに車を呼んでほしいとお願いしても聞いてくれないのです。パスポートは『管理するため』スタッフに預けられており、なかば“人質”に取られているような状況でした。結局、プロデューサーと長い話し合いを経て、私は旅を継続することになりました」

配信では、松本さんはエピソード5で黄さんに選んでもらえず脱落したとなっていますが、本当は自らドロップアウトしたいと申し出ていたのです。

こうして、5月半ばに帰国した松本さんですが、1年半も関わってきた番組への不信感でいっぱいで、もやもやした気持ちを抱えてきたそう。

感情の糸が切れてしまったのは10月。

帰国後に撮影した番宣プロフィール動画が、松本さんが“小生意気な学者”として映るかたちに編集され、YouTubeにアップされたことがきっかけでした。

「すぐにアンチが、私のSNSに攻撃を仕掛けてきました。リアリティ番組の醍醐味は、出演者の画面上での人格をその人の人格そのものだと錯覚する没入感にあるのと思います。しかし、実際はかなり切り取られて描かれているし、現実の本人とは異なるキャラクターになっているんですよね。番組側の配慮が欠けていたと思います」

守秘義務契約

これを機に松本さんは、制作側は「人権に配慮していない」といった批判をSNS上で展開しました。

すると、すぐに「売名目的だろう」などといった誹謗中傷が殺到。

性的な脅迫メッセージまで送られてくるようになり、松本さんの精神は疲弊していきまし。

しかし、制作側からの心理ケアは「まったくなかった」と言うのです。

「逆に、私が番組に関わる何かをツイートしたら、5分後には削除するように連絡が来ました。制作陣は、出演者よりも番組を守ることに必死なのです。収録中の心理ケアもいい加減なものでした。日本にいる心理カウンセラーとZoomで面談する機会が設けられてはいたのですが、二人きりではなく、他のスタッフがZoom上で盗み聞いているのです」

松本さんは制作側と収録時の内容を漏らさないという守秘義務契約を交わしており、リスクを冒して告発しています。

「勇気ある告発」と称賛の声があがる一方、YouTube番組まで起ち上げたため、売名目的を疑う声も根強いのです。

しかし、彼女は「目立つために戦略としてやっている」と否定します。

「視聴者に真実を知ってもらいたい一心で動いています。番組の倫理観を強く問いたいのです。一緒に参加した女性たちには、巻き込んでしまって申し訳ない思いです。でも、これからの参加者に、二度と私たちのような思いをしてほしくない」

アマゾンは回答せず

アマゾンジャパンに見解を聞こうと質問状を送っても、期限までに回答はなかったそうです。

恋愛リアリティ番組「テラスハウス」(フジテレビ)への出演がきっかけで自殺した木村花さん(享年22)の遺族代理人として、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に人権侵害の申立をした渥美陽子弁護士はこう語ります。

「リアリティショーにおいて、制作側と出演者は対等な関係では決してありません。制作側はリアリティ番組が危険なものだという意識を持って、出演者の精神的ケアに配慮して番組を制作する責務があります」

リアリティショーの画面に映る出演者は、ドラマとは違い生身の人間です。

出演者は自らの意思だったとはいえ、日常生活に戻った後、衆目に人生の一部をさらした過去を背負って生きていかなければいけません。

その重みを制作側がきちんと認識しない限り、このようなトラブルはなくならないでしょう。

ネットの声

「“面白いじゃん”って友達が言い出したのです。まるで自分は参加したくなかったみたいな言い方だけど、それでも自分の意思で参加したのなら参加者で間違いないんじゃない?オーデションの時点でおかしいと思っているなら、普通そこで辞めるよ。リアリティ番組でやらせがあるなんて、学者じゃなくてもわかります。」

「この番組にエントリーしといてルッキズムどうこうは、ミスコンにエントリーしといてルッキズムどうこうと論じているに等しいのでは?携帯没収は流石にエントリー時の規約に書いてあるでしょう、多分。帰りたいのに帰らせないようにしてるのは気になりますが、批判されてる側の話もきいてみたいところ。」

「この番組自体の是非を問うことと、「知らずに参加して?」と暴露することは全く別問題では…?社会学者なら、番組に出てどういう批判が起きて、それの何が問題なのかは参加せずとも論じられる話。まして「ルッキズム」を持ち出すなら、この番組は最初からそうだよ。見てる方も出てる方も。イケメン、金持ちというハイスペックな男に、ルックスと家柄、内面を兼ね備えた女が群がるって構造なんだから。「観たことないから知らなかった」なんて、逆によくそんな訳わからない場所に行って名前と肩書き出そうと思ったよね。「なんか名前売れそうだから」以外になんのメリットがあるんだろう。挙句に番組の意図通りに参加してる他のキャストを馬鹿にしたような言い方。観たことない私ですら、それくらい分かるんだけど、何を問題にしたいの?」

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