平均寿命・男性81歳超え…油断する日本人にこれから訪れる「思わぬリスク」
医療の発達等により、いまも延伸を続けている平均寿命。
この数字を無根拠に信じ、「まだ元気でいられる」と油断していると、思わぬリスクを負うことになります。
目次
「80歳までは元気だろう」の油断が生む悲劇
超高齢社会の真っ只中にいる私たちは、認知症への備えを少しでも早く講じることが何より重要となります。
認知症が進んでしまうと取り得る対策が限られてくるためです。
そこで、ある意味やっかいなのが〝平均寿命”です。
2019年(令和元年)の日本人の平均寿命は、男性が81.41歳で女性が87.45歳です。
少し前まで男性は80歳に達していませんでしたが、2013年(平成25年)に女性よりも平均寿命が短いとされる男性も80歳を超えるに至ったのです。
この平均寿命から浮かび上がる数字を、読者の皆さんはどのようにお感じになるでしょうか?
ひとつ言えるのは、〝この歳くらいまでは元気でいられるだろう?と思っている方があまりに多いことです。
認知症の対策を取った人がいいのは分かっていても、80歳を過ぎてからで大丈夫だろう、とついつい考えてしまいます。
しかしながら、認知症になるとついこの間まで元気だった方が思いがけず日常生活を送れなくなります。
本人は自分を取り巻く状況が分からないことが多いため、本人以上にその家族や関係者が右往左往することになります。
認知症になるのは、必ずしも平均寿命を超えた方ばかりではありません。
皆さんこれまで普通に生活していたのに、認知症の進行で本人の思いとは裏腹に、生活が一変してしまった方ばかりです。
認知症は、健康な人にとっても決して無関係ではないのです。
毎年発表される平均寿命。この数字はあくまで、平均して何歳まで生きることができるのかという1つの基準です。
それまでは介護が不要であるとか、認知症にならないと保証された数字ではないことを改めて押さえておく必要があります。
それでは、何を基準にすればよいのでしょうか?
健康寿命を勉強と労働に吸い取られるだけの人生
— 生きてる価値ない (@koredeowarika) April 19, 2022
平均寿命よりも「健康寿命」を指針に
実は、平均寿命とは別に健康寿命と言われるものがあります。
健康寿命とは、日常生活を制限されることなく健康的に生活を送れる期間だとされています。
厚生労働省の調査によると、2016年(平成28年)の男性の健康寿命は72.14歳、女性が74.79歳となっています。
この数字を見て、お気づきになることがあると思います。そうです、平均寿命とは異なり、男女差があまりないのです。
個人差は当然ありますが、健康寿命を境に身体機能が低下してしまう可能性があります。
身体機能が衰えると、気力や意欲までも低下してしまう恐れがあります。
〝心身”という言葉のとおり、心と身体の問題はセットで認識しなければなりません。
身体や気力が衰えたために、自分の生活などに無頓着となってしまい、認知症が進むことも有り得ます。
健康寿命をひとつの基準に自分や家族の生活を守る対策を講ずることが望ましいのです。
健康に日常生活を送ることができる期間を健康寿命と言うよ??
平均寿命と比べると男性では約9年
女性では約12年の差があるんだ??
結構長い間日常生活に障害をきたしている状態が長いんだね。健康寿命を伸ばして平均寿命との差を短縮するためには適度の運動習慣が大事なんだよ??#筋トレ pic.twitter.com/1GXDz7qvwB
— なっちゃん@筋トレとお世話係 (@kintoretoo) April 14, 2022
家族、健康、財産…「認知症」問題が苦しめるあれこれ
認知症は様々な問題をはらんでいます。家族の問題、健康の問題、財産の問題とその影響は多岐に渡ります。
認知症に関する相談の特徴。
それは、認知症になった本人以上に周りの人が悩み苦しんでいる点です。
親の定期預金を解約できない子ども、本人の財産管理をどうしたらよいのか分からないケアマネージャー、入所者の郵送物の対応に困る施設……。
そもそもどこに相談に行くべきか、迷われるケースもあります。
中には、役所から警察に行き、法律の無料相談会に参加し、ようやく司法書士である筆者の事務所にたどり着いた方もいらっしゃいます。
本人と家族の関係も千差万別です。家族が本人のために色々と立て替えていることもあれば、本人のお金を自分の生活費のために使い込んでいるケースもあります。
家族の現状については、良好かどうかを含めその関係性をしっかりと見極めることがとても重要です。
また、認知症は健康問題そのものでもあります。部屋がぐちゃぐちゃで衛生環境が悪化していたり、飲酒ばかりできちんと食事をとれていないケースがあります。
そのことから、認知症以外の病気へとつながります。
逆のパターンもあります。
病気をきっかけに、認知症へとつながってしまうケースです。
典型的な例が、脳梗塞や脳出血により脳細胞がダメージを受け、認知症の症例である記憶障害や見当識障害が出てしまうものです。
そしてさらに、この健康問題が財産に関わる問題へと発展します。
記憶障害などによって、本人が自分の財産を管理することが難しくなります。
通帳を紛失したり、支払いがまったくできていなかったりと、本人が意図したわけではないのに自分の財産の保全や運用に不都合が生じるのです。
そうすると、誰が本人に代わり、財産を管理するのかという課題に直面します。
その場合、有力な候補者は家族です。ATMなどを利用して本人を上手くサポートできれば問題はないでしょう。
ただし、家族間で争いになるケースは注意が必要です。
通帳を預かっていた人が他の家族から使途を疑われ、後々トラブルに発展することも珍しくありません。
また、実際に、家族や知人が本人に黙って使い込んでいるケースもあります。
最近では、頼める家族がいない方も増えています。
認知症の方の財産を一体誰が管理すべきか、あなたや家族には大きな課題がのしかかります。
日本人の死因の6割はがんと動脈硬化性疾患(心疾患・脳血管疾患)。内科医としてこれまで取り組んできたのは、がんを早期発見・早期治療すること、そして動脈硬化の進行を抑制し、脳梗塞・心筋梗塞を防ぎ、健康寿命と生命予後を延長することでした。
— 佐々木 淳 @医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長 (@junsasakimdt) April 18, 2022
ネットの声
「人生100年時代とは言われていますが、全介助されている方や認知症で施設にも入れず在宅で老老介護している方。ディサービスや施設は増えているけど介護士は低賃金で人材不足。ディサービスに来ている若い方の年齢と変わらない方々がヘルパーや送迎などをされたりもしている現実。
日本には、安楽死と言う選択は出来ないですが、やはり、認知症になっても一人暮らしされていたり、家族が見ていてもしんどくなり殺めるニュースがあったりなどを見ていると医療や薬などで寿命は伸びていてもそれが幸せなのか?と思う事があります。ある程度の年齢になり、病気や家族の負担などを考えると生かすだけの選択だけでは無いのかとも思います。」「自分の寿命は自分では決めれないので、出来るだけ健康寿命を延ばすように身体のケアをすることと、周囲と良好な人間関係を保つようにすることしかないと思います。最近は未婚の高齢者も増えているので、親族以外で頼れる人を見つけておくことが大切な時代になって来ていると思います。家族という単位のほかに今の時代に合った緩やかな関係を作っておくこと。これが現代社会の大きな課題ですね。」
「健康寿命と平均寿命の差を考えても、延命治療や老人医療について国はもっと真剣に考えてほしい。自分の親を見ていても正直無駄な医療費が多すぎる。格安だからとまだ余っていても薬をもらう、お金になるからとすぐに薬を出す病院。寝たきりで意識もなく、ただ生かされているだけの施設。本当に必要なんだろうかと考えさせられる。現役世代は、健康保険料が毎年あがって辟易しています。」