マイクロソフトが戦闘用ゴーグルを米軍へ納入

米軍が採用するマイクロソフト製「戦闘用ゴーグル」驚異のスペック

米軍はマイクロソフトが開発した「HoloLens」をベースにした新しい戦闘用ゴーグルの準備をしています。

この戦闘用ゴーグルについて、海外メディア「eurasiantimes」が解説しています。

初回は5,000台

マイクロソフトが開発した戦闘用ゴーグルは、運用試験の結果を受けて初回分である5,000台が3億7300万ドル(約500億円)で米陸軍に納入されることになりました。

このゴーグルは2021年3月、12万1000台のゴーグルを導入するという契約が結ばれていました。

しかし、システムの改良を続けるために実戦配備を遅らせることを決定し、発注が保留されていました。

この戦闘用ゴーグルの運用試験は今後も行われ、ゴーグルの最終テストは10月以降になる見込み。

ダグラス・ブッシュ調達担当次官補は「陸軍はこのプログラムが成功すると確信している」と述べています。

マイクロソフトが開発したこのゴーグルは、視野の拡大、距離感の強化など、人間の視覚の限界を超え戦闘を有利に進めるため、統合視覚拡張システム(IVAS)の一部として開発されたものです。

運用試験も行われた

海外メディア「Army Technology」は、IVASの運用試験は、米陸軍第82空挺師団の空挺部隊により、ノースカロライナ州フォートブラッグで行われたと報じています。

この運用試験は、陸軍が歩兵に複合現実感ヘッドセットを装備させる計画の一環として行われたものです。

プログラム・エグゼクティブ・オフィス・ソルジャーによると、IVASは近い将来、高解像度のデジタルセンサーと継続的な状況認識のためのツールが組み込まれる可能性があるとのこと。

この技術により、目標捕捉、交戦、意思決定、センシングの面で、部隊を支援することができます。

国防視覚情報配信サービス(DVIDS)が発表したプレスリリースによると、この新しいゴーグルは歩兵隊員の状況認識を向上させるとのことです。

兵士は、角の先を確認できたり、暗闇でも状況を確認できたり、ゴーグルのレンズ上にデジタル地図などの戦術データを表示したりすることができます。

また、このゴーグルは、装甲車の外側に設置された全方向カメラからのデータも使用しています。

米陸軍はこの戦闘用ゴーグルを、戦闘機のパイロットが使用するヘッドアップディスプレイ(HUD)システムと位置づけており、今後は兵士の訓練、戦闘、データ収集の能力を統合しようとしています。

重さは1.1kg

また、IVASはライフルに装着された熱暗視スコープを介してゴーグル上に相手の場所を表示できる可能性があるとのこと。

これにより、兵士は遮蔽物の後ろに隠れながら銃を向けたり、近くの敵からダメージを受ける危険なしに相手を狙うことができます。

今後IVASでは、迅速な目標捕捉、赤外線および暗視機能、ナビゲーション、マッピング、マーカー、データ交換などの機能が追加される予定です。

強化型ナイトビジョン・ゴーグルの重さは、現在のIVASのプロトタイプと同じく1.1kg程度です。

このように優れた機能をもつ戦闘用ゴーグルですが、費用も巨額です。

今後10年間で、米陸軍は戦闘用ゴーグルに約219億ドル(約3兆円)を費やそうとしているとのこと。

一般向けにも注目されるAR・VR技術ですが、軍事向けにも高い注目を浴びているようです。

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