宮迫と渡部…復帰できるできないの違いとは

渡部建が「千葉テレビ」で復帰できて、宮迫博之の「地上波」復帰は絶望的なワケ

2月15日、アンジャッシュの渡部建が、千葉テレビの番組『白黒アンジャッシュ』でテレビ復帰を果たしました。

スキャンダルを起こした芸能人たちに対して、テレビ局が復帰を許す条件とは、いったい何なのでしょうか。

たぶん多くの人が気になるテーマでしょう。

復帰には2つの大切な関係先が…

残念ながらこのテーマは少し“間違っている”と、長年テレビ業界で働いている人は思うでしょう。

なぜなら許すのはテレビ局ではないからです。

番組プロデューサーという立場で見てみましょう。

次のようなシチュエーションです。

「もし、私の番組で“スキャンダルで出禁状態になっているタレント”をキャスティングしようとしたらどうなるか」

一応、番組プロデューサーといえば“番組の社長”とも言われる番組トップの役職です。

どんな内容の番組にして、スタッフは誰にするか、そして誰に出演してもらうか、だいたいのことは番組プロデューサーの裁量で決められます。

要はその結果に責任を持てばいいだけのことだ。

しかし、残念ながら「スキャンダルで出禁状態になっているタレント」を番組プロデューサーだけの考えでキャスティングすることはできないでしょう。

もしそんなことを勝手に決めたら、間違いなくそのことを嗅ぎつけた上司に呼び出されます。

そしてチーフプロデューサーだったり、局長といった制作部署の偉い人は、番組プロデューサーに対して「勝手なことをしては困る」と叱責するのは間違いありません。

「出禁を解除する」のは一介のプロデューサーレベルで決められるようなことではまったくないのです。

では、一応の筋を通した上で、「復帰」させるとしたらどうすればいいのでしょうか。

最低でも「その番組の制作を担当する局」と「編成」そして「営業」の上層部は参加して話し合いをしなければいけません。

そして、おそらくコンプラ担当や社長室なども加わるでしょう。

しかし、その場で話し合われることはきっと「局としてどう考えるか」ということではないのです。

「出演させたとして、大切な関係先はそのことを許してくれるかどうか」ということについて、延々と検討が行われることになるはずです。

そう、実はスキャンダルを起こした芸能人がテレビに復帰できるかは、テレビ局の問題ではないのです。

許すのは2つの「大切な関係先」です。

その2つとは、「大スポンサーに許されるか」ということと、「芸能事務所に許されるか」という点に尽きるのです。

大スポンサーに大きく左右される

まず、「大スポンサーに許されるか」とはどういうことでしょうか。

この場合の「大スポンサー」とはいわゆる「ナショナルスポンサー」と呼ばれるような存在のことで、誰にも知られているような大企業にあたります。

そのスポンサーとの関係が悪くなれば、ひとつの番組の存続だけでなく放送局全体の経営に影響を及ぼしかねないような企業のことだと理解しましょう。

さまざまな大スポンサーと仕事をすると分かるのは、このような企業は非常に「顧客からのクレーム」に敏感だということです。

炎上することなどはもっての外で、それどころか“ちょっとした批判的な意見がくること”すら恐れるのです。

少しでも批判的な意見がきそうな予感がすれば、できるだけ止めておきたいというのが本音でしょう。

では、こうした大スポンサーは一番どういうことを嫌うのでしょうか。

それは、「社会的存在としての自社の評判が落ちること」。

言い換えれば、「そういう(謹慎中の)タレントをあなたの会社は許すのか」と聞かれて、答えられないという状況が一番怖いということになるのです。

そしてテレビというメディアの特性から、テレビに出稿する会社はだいたい女性客をメインターゲットにしている場合が多く、女性顧客に対して評判を落とす事態を最も避けたい場合が多くなります。

そのため往々にして、「犯罪かスキャンダルか」というような罪状の軽重とは違う結果になるのです。

ありがちな例で言うと、「違法薬物で逮捕されたタレントが刑期を終えて反省の意思を示し、自らの経験をもとに薬物乱用の危険性を啓蒙する活動をしている」場合には、大スポンサー的には「人間は過ちを犯すこともありますが、真摯に反省し、社会的活動にも参加している人にはチャンスを与え、復帰を応援するのが弊社の考えです」とクレームに対して答えることができます。

しかしこれが「性的スキャンダルを起こしたタレント」の場合には話が違ってくるのです。

それが犯罪でなかったとしても、女性が「不快」と感じそうな人物はできるだけ出演させないのが大スポンサー的には正解です。

性的スキャンダルの中でも「不倫」の場合には、「奥さんが許していて、タレント自身が反省していることが明らかな場合」には許されるケースが少なくありません。

渡部建がチバテレで復帰したワケ

今回、アンジャッシュの渡部建の復帰がなぜ「千葉テレビ」だったのかということも、「大スポンサーが渡部をどう考えるか」という観点から見ると実は非常に分かりやすいのです。

おそらく、渡部は「大スポンサー的」には許されていないでしょう。

それは不倫をしたからではなくて、「多目的トイレに女性を呼び出し、性のはけ口として女性を扱ったから」です。

不倫に関しては、もし仮に妻である佐々木希が許しており、それを理由に容認できたとしても、「トイレに呼び出した女性に対する扱い」は、少々のことでは許し難いことになっていると思われます。

結果、渡部の復帰は「千葉テレビ」にならざるを得なかったのでしょう。

なぜなら、千葉テレビには「ナショナルスポンサー」と呼ばれるような大企業のスポンサーはいないからです。

ナショナルスポンサーではなければ、企業によっては社長の判断で十分にスポンサーをしてもらえる場合もあるでしょう。

しかし、今回の渡部の復帰は、すでにいろいろと不協和音を呼んでいるようです。

その原因は「もっとスポンサーがいないフィールドから復帰するべきだったのに、それを飛ばしてしまったから」ではないかと思われます。

たとえば、舞台や劇場など、ほぼまったくスポンサーのいない場所から仕事を再開し、そこでコツコツと実績を積んで「あそこまで頑張っているのだから」という同情の声を集めてから地方テレビに、そしてそこから地上波に、という形で物事を進めるべきなのが本来の姿でしょう。

このままでは「千葉テレビでは復帰できても、地上波は難しい」という状況にとどまってしまいかねません。

タレントの“背信行為”は絶対許さない

「芸能事務所に許されるか」という問題はどうでしょうか。

こちらの方は、テレビ局にとって芸能事務所がどのような役割を果たしているのか、という本質を考えれば理解しやすいでしょう。

芸能事務所はテレビ局に対して、「連帯保証人のような役割」を果たしていると言えば分かりやすいだろうか。タレントがもし何かスキャンダルを起こしたり急病に倒れたときに、芸能事務所はあたかも連帯保証人のように「損失」を穴埋めする役割を担っています。

テレビ局がなぜ「面白い素人」よりも「そんなに実力がないタレント」をテレビ番組に出すかというと、芸能事務所が担う「連帯保証人としての保証」の信頼感が非常に高いからです。

その裏づけがあって初めてタレントはテレビ局に信頼を得ることができます。

こうした信頼関係が長年積み重なってきたのが、テレビ局と芸能事務所の濃密な関係です。

悪く言えば「癒着」と見ることもできるのですが、そこには「持ちつ持たれつ」の共存関係が長期にわたって築かれているのです。

タレントがもしスキャンダルを起こせば、芸能事務所は必死になってそれをカバーするでしょう。

事務所が必死になってカバーするということは、事務所の同僚タレントも損得勘定抜きで仲間の「穴埋め」のために頑張るということです。

それはもし自分たちに「いつかなにかが起きたとき」に逆にお世話になるかもしれないからです。

こうした、いわばある意味「村のような人間関係」の芸能界において、芸能事務所はタレントを最後の最後まで身を挺して護るわけですが、その我慢の限界を超え、あるいはタレント側が“背信行為”と思われることをして、事務所がタレントを見限る状況になった場合には、その怒りや失望感はとても大きくなるのです。

宮迫の場合などはまさにそのケースです。

たとえスポンサーサイドが許しても、旧所属事務所がそのメンツにかけてもテレビ出演は許さないでしょう。

そしてこうした「不義理」をしたタレントは、他の芸能事務所や他のタレントにとっても許せない存在となります。

なぜなら芸能界の「よくできた互助システムと秩序」を乱す存在だからです。

こうなると、よほどのことがない限り、まず2度とテレビに復帰することは不可能でしょう。

渡部の場合には、事務所はまだ懸命に渡部さんを守ろうとしていると思われます。

復帰が決まった千葉テレビの『白黒アンジャッシュ』は、渡部の所属するプロダクション人力舎が制作協力する番組です。

実質的に「事務所が作る番組」で復帰させるということは、渡部を護ろうという人力舎の気持ちの強い現れでしょう。

そういう意味では渡部さんは「2つのハードル」のうち、「事務所のハードル」の方はクリアしていると言えます。

ネットの声

「以前から苦手な部類に居た人で、今回のことで、見ている番組に出てきたらチャンネル変えるだけになるから、まぁ視聴率で局の人は起用を考えたらいいんじゃないかな。
許す許さないは奥さんとの話し合いだし、相方が解散しないって言うならば、それに報いるように行動したらいいだけだと思う。
ボランティア?を本当にしていたかは分からないけど、火のないところには煙は立たないし、その時は前に進もうと、変わろうとしていたのは事実なんだし。
テレビもYouTubeも見たい人は見たらいいだけ。」

「何となく、スポンサーや芸能事務所の都合でスキャンダルを起こした芸能人は干されると感じていましたが、具体的な内容で分かりやすかったです。
ボランティア活動や福祉の仕事を経由して(発言だけで実際にはしていないケースも多い)、テレビ復帰する人もいましたが、視聴者というより、スポンサー対策の手段だったんですね。
いつの時代も、お金を出す人が一番偉いということでしょうか。」

「渡部の場合は事務所や相方に正直に話して謝罪もして一緒に対応したからテレビ復帰にたどり着いた。
宮迫の場合は事務所にも相方にも不条理な対応をして敵に回してしまった。
してしまったことが許されるかどうかは別として周りに正直に話して意見してくれた人に耳を傾けるところの違いなのかもしれないですね。」

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