高額で不評だったけど…JPNタクシー(ジャパンタクシー)が見直されてきた理由

シエンタの流用でトラブル発生! 高額すぎて不評だったJPNタクシーがいま見直されているワケ

唯一といっていい、タクシー専用車としてラインアップされているのが、トヨタJPNタクシー。

LPガスハイブリッドエンジンを搭載し、MPV(多目的車)スタイルを採用。車いすに乗ったまま乗車できるなど、その専用設計ぶりには目をみはるものがあります。

東京23区内では、ほとんどJPNタクシーといっていいほど普及しているのですが、東京以外は大都市ですら見かける機会はぐっと減ります。

新型コロナウイルスの感染拡大がいまだ収束を見せないなか、タクシー業界もコロナ禍で大打撃を受けている業種とされ、タクシー車両の入れ替えを先延ばしにしたり、新車ではなく中古車での入れ替えを進める事業者が多いことも影響しているようです。

JPNタクシーが見直されてきた

コロナ禍前から価格が高いことなどもあり、“アンチJPNタクシー”派ともいえる事業者も目立っていました。

そして、そのアンチ派が頼ったのが、トヨタ・シエンタです。

シエンタにはガソリンとガソリンハイブリッドは用意されていますが、LPガス車は用意されていません。

しかし、シエンタの5人乗り仕様のハイブリッドを購入し、LPガスも燃料として使えるように改造しても、JPNタクシーを購入した場合を考えると“おつり”がもらえることもあり、“シエンタタクシー”が街で目立つようになったのです。

しかし事情通いわく、「ここ最近になってJPNタクシーが業界内で見直されています」とのこと。

なぜ見直されているのかというと、

「そもそも“民生用”ともいっていい、事業用ではなく一般ドライバー向けにシエンタは設計されています。それをタクシーとして使用することもあり、リヤスライドドアの開閉頻度が一般乗用使用レベルと比べるとはるかに多くなるので、タクシーとして使っていると、スライドドアが“落ちる”事案が多発してきたそうなのです」

と説明してくれたのです。

修理費用を含めるとシエンタのほうが高くつくことも

一般的なミニバンを家庭などで使用したとしても、使い方次第ではリヤスライドドアの交換はそれほど珍しいことでもないという話も聞きます。

そう考えればシエンタの設計に問題があるわけではなく、そもそもタクシーとしての使用を想定していない車両をタクシーとして使用したことによるトラブルであり、過去にはプリウスでもタクシー使用を想定していなかったので、プリウスタクシーのトラブルが多発したという話を聞いたことがあります。

そう考えると、タクシー専用車として開発されることの大切さがわかります。

JPNタクシーより安く導入できるのが魅力的だったシエンタタクシーですが、修理費用を考えると、JPNタクシーを導入するのと“トントン”もしくは、かえって費用がかかるとの点でJPNタクシーが見直されてきているようなのです。

JPNタクシーが人気に

利用者からも、「車内の床がフラットで足もとスペースも広いので、旅行用スーツケースを荷室に積み込まずに、後席足もとにラクに載せることができるので便利」とのことで、タクシー乗り場で、あえてJPNタクシーを待つ人もいるようです。

「最近はBEV(バッテリー電気自動車)タクシーというものが注目されていますが、JPNタクシーでは、二次バッテリーの蓄電量を増やしたモデルの開発が進んでいるとの情報も入っております。最近のトヨタのハイブリッドシステムは以前にも増して“粘る”、つまりBEV(バッテリー電気自動車)モードでの走行距離が延びているので、今後はその傾向も反映させてくるかもしれません」(事情通)。

いまではタクシー専用車の名車とされているクラウン コンフォートだが、デビュー当初は「マークIIベースとなっているので、クラウンセダンベースより乗り心地が悪くなった」とか、「背が高い不格好なセダンスタイルだ」などともいわれていました。

JPNタクシーもある意味事業者や利用者から“見慣れた”存在となり、その評価が大きく変わろうとしているのかもしれません。

ネットの声

「タクシーとマイカーはもともと別物です。日本の乗用車はまずタクシーとして普及しました。個人で買うには高かったからです。未舗装の道路を走りまくるタクシーはとても頑丈に作られていましたが乗り心地が硬すぎた。舗装が進み国民の所得が増えた頃、マイカーは思い切ってタクシーの発想を捨てて乗り心地やデザインを重視することで普及しました。当時は、タクシー業界に媚び続ける限り日本の自動車業界に未来はないと言う人までいました。技術が進んだ今も基本は同じです。」

「シエンタタクシーでスライドドアが落ちる事案が増えたとあるが考えれば当然である。そもそも一般向けのシエンタのスライドドアの開閉回数とJPNタクシーの開閉回数が違うのだから当然部品の耐久性も考慮して設計されているJPNタクシーの方が良いに決まっている。初期費用ばかり気にするのではなくランニングコストも含めて考えて購入することができる経営者であってほしい。」

「東京を初め、大きな街では、LPGスタンドも24時間で営業していたり、スタンド自体が多くあるので、JAPANは、普及しやすいかもですが、地方だと、スタンドも少なく、営業時間も短かったりするので、ガソリン車である、シエンタを選択しているのだと思います。逆にJAPANのガソリンがあれば、地方でも導入が増えるのかもです。」



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