ばあさんは15歳 阿川佐和子 (著) 中央公論新社 (2021/1/18)

孫娘と頑固ばあさん

2019年と1963年をまたぐ

二人の冒険の行く先は<? br><; br> 高校入学を目前に、ふとした異変で昭和にタイムスリップしてしまった菜緒。

時はオリンピック前年。

口が悪く愛想なしの祖母を相棒に東京タワーから始まる物語は思わぬ出会いと発見にあふれて――

やがて明らかになる、ばあさんの封印された過去。

取り返しのつかない出来事を、菜緒は覆すことができるのか!?

愉快で爽快、ラストに涙が待っている。

阿川佐和子の最新小説

装画・挿絵 石川えりこ

「読売新聞の朝刊連載小説を単行本化した作品。大昔の子供向け人気TVドラマ「奥様は18歳」と酷似した題名だと思っていたら、内容も同程度に幼稚。奈緒という女子中学生が母方の祖母(ばあさん)と一緒にエレベータに閉じ込められ、やっと開放されたと思ったら、昭和38年(“ばあさん”が15歳の頃)へとタイム・スリップしていた、というお粗末かつ安直な設定。構想力もなければ作品の意匠も不明。単に作者が小学生時代の昭和のノスタルジーに浸ってダラダラと当時の風俗を綴るだけでは小学生の作文レベルである。第一、タイム・スリップして奈緒は驚愕しているのに、幾ら馴染みの世界とは言え、”ばあさん”が平然としているのは極めて奇異(後出)。

更に、”ばあさん”の曾祖母の明治後半からの家系・家業の説明をするとあっては益々意匠不明。そして、2人が金に困って”ばあさん”が昔住んでいた家へと向かうが、現代の”ばあさん”と15歳の”ばあさん”とが体面しないのも詰まらない。奈緒が各所で「ヤバイよ、ヤバイよ」、「マジスカ」といった言葉遣いを連発するのも鼻白む。更に、奈緒の同級生の西原もタイム・スリッパー(!)として登場するとあっては最早ハチャメチャ。加えて、怪しい動きをしていた”ばあさん”も(西原に教えられて?)意図的にタイム・スリップしたとあっては”何おか言わんや”である。更に、その目的が敢えてタイム・パラドックスを起こすためとあっては作者の不見識を如実に示している(第一、これが起こっては奈緒が産まれていないという不条理(!))。”ばあさん”(=作者)の無知と粗忽さだけが目立つ。

人情噺(ムダに長い)と化した終盤、相対性理論(タイムトラベルを可能化し得る唯一の理論)に反した事を堂々と書いている点にも呆れ果てた。一顧だに値しない幼稚園の学芸会レベルのドタバタ(デタラメ)・SFコメディ。文豪だった亡き父君も草葉の陰でさぞや嘆いておられるであろう。」


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