ディズニーキャストざわざわ日記 笠原一郎 (著) フォレスト出版 (2022/1/21) 1,430円

夢の国″にも××××ご指示のとおり掃除します

「ハッピーなことばかりの仕事などない」
清掃スタッフ(カストーディアルキャスト)が描く、不安と夢の現場報告
――これは私の実体験である

われわれも人間だから、手を抜くこともあれば、ミッションを忘れるほどゲストに対して怒りを覚えることもある。

仲間と会社の愚痴も言い合うし、給料が安いと不満を持ったりもする。

それは本書をお読みいただければ、おわかりになるだろう。

私が本書をつづろうと思ったのは、数多のディズニー本に対する違和感が一因だ。

本書は模範回答的なディズニーランド像に対する現場からの実態報告でもある。

そして、本書にあるのは決して「創作された物語」などではなく、すべて私が実際に体験したことである。

――57歳で入社し、65歳で退職するまで、私がすごした8年間で見た〝夢の国〟の「ありのまま」の姿をお伝えしよう。

もくじ
まえがき――ディズニーランド、「ありのまま」の姿

第1章 キャストの慌ただしすぎる日常
某月某日 肉体労働者:暑い日も、寒い日も
某月某日 何をしているんですか? :ゲストからの質問
某月某日 ××処理:できればしたくない作業
某月某日 ネズミ取り扱い注意:動物の死がい処理
某月某日 ぎこちないスマイル:いつも笑顔なんてムリ?
某月某日 ゴミ屋さん:清掃業への差別意識を考える
某月某日 通勤ラッシュ: 「日常」と「非日常」の狭間で
某月某日 走ると危険です:フルスピードのゲストたち
某月某日 気になる個室:ノックに応答なし
某月某日 誰が使ってもいいけれど:レストルームのマナー
某月某日 キャストになる:会社員としての暗黒時代

第2章 決して口外しないでください
某月某日 お金の話: 「決して口外しないでください」
某月某日 ここだけの話:不平不満が飛び交う場所
某月某日 苦手な人:すさまじい「おもてなし力」
某月某日 ディズニールック:守る人、守れない人
某月某日 混んでいる日には…: 〝夢の国〟にあるまじき声
某月某日 恐怖! 埼玉県民の日:忘れてはならない記念日
某月某日 早番、遅番:それぞれの苦労と役得
某月某日 自己アピール:PHSとグループ通話
某月某日 謎の落とし物:ヘアピン1個、届けますか?
某月某日 三度のメシより好きなもの:心が浮き立つ「解消」
某月某日 入園者数予測:不思議なくらい当たらない
某月某日 出社から退社まで:これがキャストの一日
某月某日 殴り合い:一度だけ目にした光景
某月某日 妻の病:突然の宣告

第3章 ヘンなゲスト、もっとヘンなキャスト
某月某日 迷子:非日常の世界観を守るため
某月某日 人間関係:SVからの思わぬ注意
某月某日 取られ損:組合には入ったけれど
某月某日 ディズニー愛の個人差:ティンカー・ベルが教えてくれたこと
某月某日 ボランティア:ある少年との交流
某月某日 身の上話:キャストたちのいろいろな前職
某月某日 条件反射: 「お困りのことはございませんか?」
某月某日 「神対応」の舞台裏:東日本大震災の現場で
某月某日 難問:ゲストはいつも予測不能
某月某日 コスプレ:制服姿でプカプカ
某月某日 不人気キャラクター:人知れぬ哀しみ
某月某日「おやっ」と思うこと:SCSEは実践されているか?
某月某日 久しぶりのインパ:緊急事態宣言を受けて

第4章 〝夢の国〟のリアルな風景
某月某日 休憩室を観察する:キャストの職種別傾向
某月某日 君子危うきに近寄らず:楽しみ方は人それぞれ
某月某日 大人買い:キャストショップのマル秘活用法
某月某日 去っていく人:たくさんの出会いと別れ
某月某日 魔法の粉の使い道:彼女が本当に欲しかったもの
某月某日 暇そうな人: 「バースデーシールください」
某月某日 ハイテンション:ついていけない「サンクスデー」
某月某日 褒めて、褒めて:真似したいさまざまな仕掛け
某月某日 定年退職:さよならディズニーランド

あとがき――大きくなったらキャストになりたい?

【発行】三五館シンンャ/【発売】フォレスト出版

著者について
笠原一郎(かさはら・いちろう)
1953年山口県山口市生まれ。一橋大学卒業後、キリンビール入社。マーケティング部、福井支店長などを経て、57歳で早期退職。東京ディズニーランドに準社員として入社。65歳で定年するまで約8年間にわたりカストーディアルキャスト(清掃スタッフ)として勤務。満員電車に乗って舞浜に通っていた日々を懐かしみながら〝夢の国〟の「ありのまま」の姿を本書につづる。

「他の方も書いていますが、またこの本を持って、現地に遊びに行きたくなりました。この本の視点でキャストの方々を観察しようかな?と思いました。作者は、高齢のもとキャスト。だからこそ、苦言もあるのだと思います。ウォルト・デイズニーが本書を読んだら苦笑するかもと想像して楽しくなりました。本当に、買ってよかったと思います。この働く中高年のシリーズはどれも好きです。」

「著者さんも作中で言っていますが、今まで刊行されているような感動話満載のディズニー本はむず痒く、どちらかというと裏のリアルな話の方が個人的に好みなので、本書はとても面白かったです。
清掃を生業とする職種なだけに綺麗な話ばかりではないし、スタッフ同士の人間関係や給料の話、嫌な態度をとるゲストに苛立つシーンも描かれています。ディズニーという夢の世界を成立させるためのリアルな苦労を知れば知る程、愛着が湧き、今度来園した時に機会があればカストーディアルキャスト(清掃スタッフ)さんにお礼を言いたいとも思いました。ただ万人受けする著書ではないと思います。特にディズニーという夢の世界観を壊したくない人には決しておすすめできません笑」

「千葉県にあるのに「東京」を名乗るあの「夢の国」で清掃スタッフとして働いていた方の現場報告である。多岐にわたる仕事での苦労話や同僚とのやりとり、様々なゲスト達とのふれあいなどがありありと描かれていて興味深かった。喜怒哀楽様々な感情を赤裸々に綴っていて、あの非日常を象徴する世界でも、そこで働く人達の日常を知るにつけ、どんな仕事でもやっぱり大変なんだなあと改めて感じた。こうしてゲスト達を楽しませるために多くの方々が地味な裏方として黙々と働いてくれている現実に、我々はもっと気を配るべきではないかと感じた。そして、自分も自分の仕事を頑張ろうと勇気づけられた。」


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