ロシア点描 小泉悠 (著) PHP研究所 (2022/4/19) 1,760円

「ロシアとロシア人の魅力を、衣食住の面から伝えたい」という本書の内容は、プーチン大統領の蛮行によってその色合いを変えた。

新型コロナウイルスの蔓延下、ロシアを観光で訪れることはかなわない。

何より頭をよぎるのは突然、ロシア軍の攻撃によって同胞を失い、住む家、町、国を離れざるをえなくなったウクライナ人の悲しみだ。

日本人のロシアやロシア人に対するイメージも、好ましくないものに転じたかもしれない。

しかし、だからこそこの本を手に取っていただきたい。

もちろん「ロシア政府とロシア人は別」と簡単に割り切ることはできない。

では両者の関係がどうなっているのかということを、なるべく柔らかく、わかりやすく説き、「ロシアという国は何か」について、理解を深める必要がある。

著者は執筆にあたり、次のように語った。

「自分のロシアへの『愛』を伝える作品にしたい」

その真意を、一人でも多くの読者に感じていただければ幸いである。

第1章 ロシアに暮らす人々編
第2章 ロシア人の住まい編
第3章 魅惑の地下空間編
第4章 変貌する街並み編
第5章 食生活編
第6章 「大国」ロシアと国際関係編
第7章 権力編

著者について
小泉 悠
東京大学先端科学技術研究センター専任講師。1982年、千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員、未来工学研究所客員研究員などを経て、2022年1月より現職。ロシアの軍事・安全保障政策が専門。

「日本人とは、考え方がこんなふうに違うのかというのをエッセイとして楽しく読める時間は、いま、とても貴重な時間だった。
でも、あとがきに著者が落語やってたというのを読んで「落語くささがない」のに逆に驚いた。
テレビやネットでの話し方も、うまいし、どこかユーモアがあるとは思っていたが、落語好き、落語をやってた人の落語くささがあったら嫌だなと思っていたと思うので、素直にすごいなと思った。本当は軍事落語とか新分野を切り拓ける人なのかもしれない。そこ知れない能力を感じた。」

「世界情勢でロシアが毎日取り沙汰されていますが、ロシアに対して知識がなかったので本を探していました。
軍事関係は私は一切わからないし、硬い内容の本は読み切れる自信がなかったので。新刊コーナーにあった黄色でかわいいマトリョーシの表紙が目につき、ロシア人について語ってあったこちらを購入しました。
とても読みやすくて一日で読みました。衣食住は生活の基本なので、詳しく書かれていてよかったです。
「こんなひどい戦争を始めたロシアのことなど理解したくない、という意見もあるでしょう。しかし、理解することと賛同することは違います」
最初に書かれてましたが、その通りだと思います。」

「ロシアで今起きている政治行動とロシア人は全く別物という論では無い
但しどんな背景や考え方があるのか、ロシア人の知人を得たような視点でこれから起こる事を理解する一助になりそう。何よりユーモアあって柔らかい語り口で楽しく読めた」


(↑クリックするとAmazonのサイトへジャンプします)

 

おすすめの記事