包帯クラブ ルック・アット・ミー! 天童荒太 (著) 筑摩書房 (2022/3/14) 1,760円

The Bandage Club Look At Me !

わたしはここにいる。想いよ、どうか世界に届け。

伝説の物語、ついに再始動!

ベストセラー『包帯クラブ』続編。悲しみがあふれた世界で、戦わずに大切なものを守ろうと、6人がふたたび動き出した。
天童荒太、待望の書き下ろし長編。

関東のはずれの町に暮らす高校生、ワラ、ディノ、タンシオ、ギモ、テンポ、リスキ。彼らはそれぞれに傷ついた少年少女たちだった。

戦わないで自分自身の大切なものを守りたい、そんな思いから彼らは包帯クラブを結成する。

その活動を描いた前作『包帯クラブ』から16年。本作では前作の終わりから話が始まる。

人が傷ついた場所に包帯を巻く活動は、無理解や反発などを受け、自粛を余儀なくされる。

しかし、ひっそりと会うなかでバンドを始める。

バンドの発表の場を求めながら、別の形での包帯クラブの実現を試みる彼ら。

本作では、未来の、成人した彼らの姿も交差して描かれる。

この世界にあふれた悲しみのひとつひとつを手当することは難しいが、だから何をしたってむだ、とは言いたくない。

自分たちのやり方で、自分を守り、大切な人たちを守ろうと踏み出す彼らの第二幕が開く。

「何も知らない子ども、として扱われていた頃から、日々、この社会の不公平さと不自由さと理不尽さにぶつかってきた。
そのくせ、自分が、そんな社会に選ばれることを願い、あくせくしてきた。(中略)
これは一人きりでは、古い世界につぶされてしまっただろうぼくたちが・・・・・・自分たちのやり方で、危機を切り抜け、少しずつ望んでいた道へ進むことが叶った・・・・・・いや、いまもまさに叶いつつある日々の、途中報告書であり、感謝状だ。」
(「第二部 遠くて近い、あの日のきみに」より)

装丁:名久井直子 装画:田雜芳一

「「この世界には、たくさんのつらいことがある。悲しみがあふれている。その一つ一つに手当てをすることは誰にもできない。だからといって、何をしたってむだ、なんて言いたくはない。」

前作からかなりスケールが大きなり、世界を舞台にした物語になっていたけど、「包帯クラブ」が伝えたい根っこの部分はずっと変わらない。
コロナ禍で余裕がなくなり、つい自分のことばかりになってしまっている僕らに、誰かのためにほんの少しでも、自分にできることをしようと思わせてくれる。
誰かに寄り添う人がいる。優しさを与える人がいる。
それは小説の中だけのフィクションではなく、自分が一歩踏み出してみるだけで、誰かに何かを与えることだってできるんだ。
そんな勇気が出る本でした。
読んだあとはきっと、近くの知り合いでも、遠くの誰かでも良いから、優しくしてあげたいって気持ちになるはず。」


(↑クリックするとAmazonのサイトへジャンプします)

 

おすすめの記事