
覗いたら最後、もう元には戻れません。
あなた、他人事だと思っていませんか?
「出番が来たん違う?」
十六年前、神戸での震災支援を機に立ち上がったものの、その後困窮を続けるNPO法人の代表・甲斐は介護士のかすみらと共に一関に向かう。
過去の経験を説き、被災地の小学生七人を率いて東京で募金活動を始めるが――。(「仮面」)
誰にも起こりうる、運命の理不尽。
ふとした瞬間に生じるエアポケット。
短編の名手が【人生の落とし穴】を描き出す、切れ味鋭い五作を収録。
「最後の短編「月も隈なきは」の中の一場面、ゴールデン街の店のママと客の会話で、客が石川啄木の「さいはての駅に下り立ち雪明り、さびしき町にあゆみ入りにき」と呟いたのに応じ、ママが寺山修司の「吸いさしの煙草で北を指すときの北暗ければ望郷ならず」の歌を返し「随分ながいこと帰ってないんでしょう」と続く下り、
”客は危うく涙を零しそうになって、唇を固く結んだ。”
こんなママがいたらほんとに涙をこぼすだろうと、感心します。あたりまえだけど、このママの見た目は描写がなくて、この客に相対して言葉で癒す、その機微が「ゴールデン街」なんだろうなと思わせるわけです。
楽しんで最後まで読めます、おすすめです。」
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