藤井聡太論 谷川浩司(著) 講談社 (2021/5/21)

「天才は天才を知る」。レジェンドが迫る巨大な才能の秘密。

AIの登場以降、大きく変貌する将棋界。

そこに現れた若き天才・藤井聡太。

14歳2ヵ月・史上最年少のプロデビュー後、衝撃の29連勝から始まり、史上最年少でのタイトル獲得など、次々と記録を塗り替えていく彼のすごさとは?

人間はどこまで強くなるのか?

その謎を、史上最年少名人位獲得の記録を持つレジェンドが、自らの経験を交えながら、さまざまな角度から解き明かすとともに、多士済々の頭脳集団が切磋琢磨し、進化しつづける将棋の魅力を伝える。

第一章 進化する藤井将棋
ケタ外れの「頭の体力」・棋士も経験する「ゾーン」状態・時間配分をコントロールする etc.

第二章 最強棋士の風景
谷川・羽生の両方を持っている・トップ棋士の研究量・シビアな勝負師に徹して etc.

第三章 不動のメンタル
負けん気と平常心の両立・記録ではなく、強くなること・最年少名人記録は破られるか etc.

第四章 「将棋の神様」の加護
羽生世代が起こした序盤革命・苦手意識をどう克服するか・恐ろしいほどの強運 etc.

第五章 「面白い将棋」の秘密
勝った相手に楽をさせない・将棋は学業にも役に立つ・盤面をイメージせず読む・強さの源泉は詰将棋にあり etc.

第六章 AI革命を生きる棋士
人間と異なる形勢判断・強さとAIは関係ない・自分で考えなければ強くなれない・一局で一手研究が進む時代・五十代の戦い方 etc.

第七章 混沌の令和将棋
堅さよりもバランス重視・トップ棋士に求められる受けの力・美学に反した手を見直す etc.

「藤井聡太を論じた主だった本には目を通しているが、藤井二冠の「すごさ」に肉薄しているという点で本書の右に出るものはないだろう。将棋を知っていればそれだけ面白く読めるが、知らなくても十分に面白い。
まずデータによる裏付けがすごい。藤井二冠が持つ数々の記録の意味をさまざまなデータを引きながら縦横に(マニアックと言えるほど)分析し、その意味するところを伝えている。
王位戦の「封じ手」で見せたタフな精神力は棋士ゆえにわかることだが、初タイトル獲得時の不動心や新記録の更新の意味などは、自らも数々のタイトルと記録を持つ著者だからこそできる考察だろう。その意味では天才こそが知る天才というべきか。
なかでも詰将棋に由来する藤井将棋の魅力を論じたくだりは、詰将棋に通じた著者の独壇場の感がある。
いわば外側から考察した客観的な藤井聡太論と、内側から想像を交えた主観的な藤井聡太論だ。
結局、天才とはすべて分析できないからこそ天才なのだということがよくわかる。
できることは、ただ、いかにすごいかを語ることだけだ。」

「前作中学生棋士から続きのような作品でしょうか、藤井二冠のことが大好きみたいです、
小さい子供の頃を知っているからなのでしょう。
同じプロですから、礼賛的だったり、舌を巻く的な記述はどうかなと思ったりもします。
藤井二冠の書籍はたくさん出ていますが、現役棋士でまとまった本になっているのは谷川さん
のだけですね、3、4年くらいしたら次の文庫本を出してください、それとも2年半くらいで
最年少名人になったらすぐに出してほしいですね。」

「藤井さんは同業の先輩から揶揄されたりすることが極めて少ない。ほとんど絶無だと言えるほどだ。
谷川先生のような棋界を代表する重鎮からも藤井さんは「棋士の理想像」「神の子」のような、畏敬、羨望の眼差しを向けられてるのを本書でもヒシヒシと感じる。
本人に全くといって浮ついたところがなく、最善の一手を真摯に追求する姿勢が全面に出ており、礼儀正しく謙虚な振る舞いが年長者から絶大な支持をうけているということだろう。
また、谷川先生にとって羽生さんの存在がどれだけ大きかったかも本書はページを大きく割いている。
著者の実直な性格が文面からも強く伝わってくるのも面白い。」


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