短編小説集としては『女のいない男たち』から6年ぶり、小説は『騎士団長殺し』から3年ぶり。
村上春樹氏の最新短編小説集。
「一人称単数」とは世界のひとかけらを切り取る「単眼」のこと。
しかしその切り口が増えていけばいくほど、「単眼」はきりなく絡み合った「複眼」となる。
そしてそこでは、私はもう私でなくなり、僕はもう僕でなくなっていく。
そして、そう、あなたはもうあなたでなくなっていく。
そこで何が起こり、何が起こらなかったのか?
「一人称単数」の世界にようこそ。
収録作
- 石のまくらに
- クリーム
- チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ
- ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles
- 『ヤクルト・スワローズ詩集』
- 謝肉祭(Carnaval)
- 品川猿の告白
- 一人称単数
一人称単数のみ書き下ろし、他は「文學界」に随時発表
「『女のいない男たち』以来、六年ぶりの短編集。
少し奇妙で回顧的要素の多い私小説的な八つの短編作品。収められているほとんどの作品において、語り手が著者であろうことが作中より窺い知ることができます。著者の過去作では(こちらは著者が聞き手ですが)、同じように不思議な体験談をフィクションとして構成した『回転木馬のデッドヒート』を思い起こしました。静的な印象の作品が多く、とりわけ新規の読者への訴求力は弱いかもしれません。また、いくつかの作品内では関西弁が用いられており、私的要素が強い作品集とはいえ、村上春樹の小説作品としては珍しいのではないでしょうか。」
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