吉祥寺ドリーミン 山田詠美 (著) 小学館 (2021/12/22) 1,485円

てくてく散歩・おずおずコロナ

山田詠美がコロナ禍を綴る最新傑作エッセイ

山田詠美さんは本書について「あとがきに代えて」でこう綴っています。

≪この本では、新型コロナの感染が拡大する中でのあれこれを綴りました。と、同時に、日々の取るに足りない、けれども、私にとっての大事なトピックスも取り上げています。そこから生まれる喜怒哀楽は、大きなものでも些細なものでも、確実に私の一部を形作っている。大切な大切な欠片たち。≫

「言葉の小姑」を自認する著者の「怒り」は、想像力の欠片もない、安易に使われる言葉に向かいます。

コロナ禍において跋扈した「東京アラート」や「特別な夏」「おうち」、さらには「コロナ禍」も俎上に載せ、「その言い回し、許さん!」と筆を揮うエッセイには胸がすくこと請け合いです。

もちろん美味しい食べものやお酒、夫婦での散歩など、不要不急の愉しい日常についてもたっぷりと!

【編集担当からのおすすめ情報】
前作『吉祥寺デイズ』は、朝日新聞の人気連載「折々のことば」(鷲田清一さん)に《だいたい、私、若気の過ちを通過していない人間を信用しない性質なんで》という一節が取り上げられるなど、大反響を呼びました。

本作でも、山田詠美さんだからこその胸のすくアフォリズムが満載。濁流のような時代の変化の中で溺れる思いをしている人にこそ読んでほしいと思っています。

生きていくうえで心に留めておきたい大切な言葉がたくさん詰まった一冊です。

装丁は前作と同じくジュン・キドコロ・デザインの城所潤さん。装画は100%ORANGEさんです。

カバーを開いた表紙や本文中の絵もぜひお楽しみください。

山田 詠美
1959(昭和34)年、東京生れ。明治大学文学部中退。’85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。同作品は芥川賞候補にもなり、衝撃的なデビューを 飾る。’87年には『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞受賞。さらに、’89(平成元)年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、’91年 『トラッシュ』で女流文学賞、’96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、’05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞を 受賞する(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 熱血ポンちゃん膝栗毛 (ISBN-13: 978-4101036243)』が刊行された当時に掲載されていたものです)

「夫と子どもたちが出払ったあと、声をあげて笑いながら一人この本を読む時間は、至福だった。
あとがきで、コロナパンデミックの中、癒されたのは「言葉」とあった。さすが、さすがだなと思った。「コーヒー」とか「音楽」とか言っちゃいそうじゃないですか、普通の人は。
私から見ると、むしろ言葉が残虐性と暴力性を増して、ギスギスしてきたパンデミックだったので、これは意外であった。
私も嫌いな言葉や言い回しがたくさんある。ただ、嫌いと言い続けることに疲れてきた。時に受け入れてしまったり。周りに合わせて使ってしまったり。しかし山田さんは、言葉のこだわりを大切にし、一刀両断し続けている。折れてきた自らを反省し、これが作家の力量かと恐れ入った。
同じ時代を過ごせて嬉しい、ワクワクする作家の一人。」


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