退職したいけど…失業保険のもらいかた…介護離職をした場合は特定理由離職者になるの?

家族や親族の介護を理由に退職することを介護離職と呼んでいます。

新しい言葉ですが、実態としては昔からありました。

親の介護が一般的で、数的なことで社会問題化したのは近年になってのことです。

平成29年就業構造基本調査によると、介護離職者の数は1年間で99,000人でした。

前回の平成24年調査が101,000人でしたからほぼ横ばいで推移しているといっていいでしょう。

性別でみると男性は24,000人で女性が75,000人です。

介護離職者の8割を女性が占めているという状況です。

一方で国の政策としての目標は「介護離職ゼロ」です。

目標と実態に大きな乖離がみられますが、現状として介護離職者が10万人近く毎年発生していることを踏まえ、離職者の当面の生活を支えているのが失業保険なのです。

ここでは、介護離職した場合の失業保険の給付について詳しく説明します。

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2通りの離職の仕方

離職には大きく、自己都合退職と会社都合退職があります。

両者の違いは、失業保険に給付制限がかかるかどうかです。

自己都合退職については失業保険の給付制限を受けることになります。

また、例外的に自己都合退職でも特定理由離職者は給付制限が免除されます。

特定理由離職者とは

失業保険の給付制限というのは、退職してもすぐに失業保険はもらえず、3ヵ月間の給付制限を受けるという意味です。

自己都合退職の場合、ハローワークで失業保険の受給申請を行うと「3ヵ月の給付制限があり、その間は失業保険の受給はできません。

」と言われます。

一方で解雇や倒産など会社都合での退職の場合は給付制限がなくすぐに失業保険の受給ができます。

自己都合なのだから、給付制限となるのは当然という考えなのですが、自己都合でも給付制限とならない場合があります。

それが特定理由離職者なのです。

特定理由離職というのは、自己都合退職の一つなのですが、様々な事情により退職せざるを得なかった人ということになります。

そこに退職の意思は感じられず、仕方なく退職する人を特定理由離職者と呼んでいるのです。

特定理由離職となる主な理由は以下です。

・体力不足や心身障害などで就業が困難
・家庭の事情の急変
・就業場所の移転で通勤が困難
・配偶者の転勤や転職

以上の理由によって、自己都合退職で離職した人でも、会社都合退職をした人と同じ条件で失業保険をただちに受給することができるのです。

介護離職は特定理由に当てはまるのか

「父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者」であれば、特定理由離職者に当てはまる可能性がありますが、介護が軽度であったり、離職するほどのものでもないと判断された場合は自己都合退職となります。

ここで、問題となるのは、介護離職は特定理由退職となるのかということです。

毎年、10万人近い人が介護を理由に退職をしています。

退職の理由を自己都合か会社都合かを決めるのは自分自身あるいは会社ということになります。

いっぽうで特定理由退職かどうかを判定するのはハローワークです。

厳密に言えば、退職理由が会社都合か自子都合なのかも、ハローワークが判定するのですが、すでに退職時に受け取る離職票に自己都合あるいは会社都合が記載されているので、ハローワークはその記載内容によって失業保険の受給申請を受けることになるのです。

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介護を理由に退職する場合は、会社に提出する場合には「一身上の都合により…」とすることになります。

日本の場合、退職届に記載するのは詳細ではなく、[自己都合」の場合はこのように記載するのが慣習となっているのです。

そのため、離職票にも自己都合退職の場合、理由が「一身上の都合」というように記載されています。

そこで、介護などの理由で退職せざるをえなかったことを失業保険の受給申請のときに、「自分で」申告する必要があるのです。

申告内容を精査し、ハローワークが自己都合退職であっても、介護離職の場合特定理由離職者と判定するのです。

また、介護認定によって特定理由離職者になるという明確な決まりは現在のところありません。

あくまでも、ハローワークの判断となります。

しかし、介護を理由にした特定理由離職者となるための受給申請をするためには、介護する人の[介護保険証」などのコピーと続柄が分かる住民票などを用意するとよいでしょう。

会社都合退職にできるかも

会社都合退職も特定理由離職者となります。

厳密には、会社都合退職の場合は「特定理由離職者1」となります。

また、自己都合退職での特定理由離職者は「特定理由離職者2」となるのです。

両者の違いは失業保険の受給期間に大きな隔たりがあります。

「特定理由離職者1」のほうが受給期間が長いのです。

「特定理由離職者2」については、一般受給資格者の給付制限がなくなるに過ぎないのです。

先述したように、ハローワークに提出する離職票には、退職理由が自己都合か会社都合かが記載されています。

自己都合の場合、介護離職であることを申告することで、特定理由離職者として判定されることになるのですが、これは「特定理由離職者2」でしかありません。

自己都合退職から会社都合退職にするには、一番は離職票に「会社都合」と記載してもらうことです。

これは会社に頼むことになります。

また、ハローワークにおいても、自己都合退職から会社都合退職にしてもらうことができます。

これも明確な基準はありません。

まずは介護による離職であることを説明し、さらに会社都合に変更できないかを聞いてみるとよいでしょう。

まとめ

失業保険の受給については、ネットなどで、有利になる受給方法などの指南が多数掲載されています。

それらをおおいに参考にするとよいでしょう。

手順としては、会社退職時に介護を理由として、会社都合の退職にできないかを会社に問い合わせてみます。

それができない場合、ハローワークにおいて、介護離職を申告する際に、会社都合にならないのかを聞いてみるとよいでしょう。

いずれの場合も自己申告制ですから、自分で申告をしないと特定理由離職者になることはできません。



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