経済安全保障 北村滋 (著), 大藪剛史 (その他) 中央公論新社 (2022/5/23) 2,200円

警察官僚として日本の技術を盗もうと暗躍するスパイと闘い続け、 前国家安全保障局長として経済安全保障の強化に心血を注いだ著者が、 軍備を拡張し、現状変更も辞さない中国の野望と戦略を分析。

「スパイ天国」とまで揶揄された無防備なこの国を守るための指針を提示し、最新の経済安全保障事情を解き明かす。全篇、著者渾身の書き下ろし。

人工知能(AI)を搭載したドローンが襲い掛かってくる、人工衛星を攻撃されて陸海空のオペレーションが混乱する、遠隔から原発をメルトダウンさせる……。

現代戦は、科学技術の戦いだ。令和の戦争の勝敗を決するのは、AI、量子技術、生物工学の力といっていい。

軍民融合が当たり前の中国は、世界の最先端技術を吸い取り続けている。「見えない戦争」は始まっている。安全保障の危機が経済、科学の領域に拡大している。

目次
■1章 日本を狙うスパイ
■2章 経済、科学の領域に拡大する安全保障の危機
■3章 経済安全保障とは何か
■4章 米中激突の最前線
■5章 米国、欧州の政策
■6章 我が国の政策と経済安全保障推進法
■7章 中国の歴史的戦略思考と米国の誤算
■8章 習近平の「中華民族の偉大な復興」「中国の夢」

著者について
北村滋(きたむら・しげる)/前国家安全保障局長
1956年12月27日生まれ。東京都出身。私立開成高校、東京大学法学部を経て、1980年4月 警察庁に入庁。1983年06月 フランス国立行政学院(ENA)に留学。1989年03月 警視庁本富士警察署長、1992年02月 在フランス大使館一等書記官、1997年07月 長官官房総務課企画官、2002年08月 徳島県警察本部長、2004年04月 警備局警備課長、2004年08月 警備局外事情報部外事課長、2006年09月 内閣総理大臣秘書官(第1次安倍内閣)、2009年04月 兵庫県警察本部長、2010年04月 警備局外事情報部長、2011年10月 長官官房総括審議官。2011年12月 野田内閣で内閣情報官に就任。第2次・第3次・第4次安倍内閣で留任。特定秘密保護法の策定・施行。内閣情報官としての在任期間は7年8ヶ月で歴代最長。2019年9月 第4次安倍内閣の改造に合わせて国家安全保障局長・内閣特別顧問に就任。同局経済班を発足させ、経済安全保障政策を推進。2020年9月 菅内閣において留任。2020年12月 米国政府から、国防総省特別功労章(Department of Defense Medal for Distinguished Public Service)を受章。2021年7月 退官。現在、北村エコノミックセキュリティ代表。

大藪剛史(おおやぶ・つよし)/読売新聞政治部記者
1984年2月1日生まれ。愛知県出身。愛知県立豊田西高校、名古屋大学文学部を経て、2006年4月、読売新聞社に入社し、新潟支局に赴任。12年9月から政治部で総理大臣官邸や自民党を担当。15年4月から経済部で財務省を担当し、16年4月から宇都宮支局。18年4月から政治部で総理大臣官邸や外務省、国会を担当。

「本書を読んで、経済安全保障とは何かということがよく理解できた。特にインテリジェンス(情報)が全てを決すると言っても過言ではないことを痛感させられた。インテリジェンスマスターである北村さんが、迫り来る中国の脅威を念頭に日本のインテリジェンス機能の強化を提言しており、官民ともに危機感を持つべきだと思った。」

「経済安全保障推進法の骨格を形成した筆者が、経済安全保障政策の全体像を語り尽くした決定版。中国戦略の歴史的考察、米国の対中政策の変遷など、米中対立の淵源についても詳述している。また、本書を通じて、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境に対する理解が深まるはずである。」

「北村さんの第二弾の本。いつ出版するのか期待して待ってました!
今回の本は、日本で暗躍するスパイの手口など、事件を指揮した北村さんが具体的に明らかにしていて、読んでいて面白かったし、本当に日本はスパイ天国なんだなと思いました。
個人的には、AI、量子技術、ブロックチェーン、生物工学などの革新技術が流出した場合をシミュレーションしている部分が現実味を帯びていて、すごく印象に残りました。
ストーリー性があって面白い本です。」


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