近親殺人 そばにいたから 石井光太 (著) 新潮社 (2021/5/18)

7つの実際の事件が問いかける、決して他人事ではない真実。

大切なはずの身内を手にかける、「近親殺人」とは。

家族と時間を過ごす時間が増える今こそ考える。

凶悪事件が頻繁に報じられる中、日本の殺人事件の件数は減り続けていると知っているだろうか。

ピークは1954年の3081件。2013年には初めて1000件を下回り、近年は800-900件で推移しているのが実情だ。

ところが家庭内を主とした親族間での 殺人事件の件数は、ここ30年ほど、400-500件と変わっていない。

筆者が分け入ったのは、この「家族の闇」だった。

「まじ消えてほしいわ」とLINEでやり取りしながら同居していた病弱の母親を放置した姉妹、

締め殺した引きこもりの息子の死顔を三十分見つめていたという父親、

ATMでお金をおろせなくなり死ぬしかないと思い詰め心中したタクシー運転手と老母、

「殺さなければ殺される」とばかりに追い込まれて鬱病の姉にとどめを刺した家族、

真面目さがあだとなって寝たきりの夫を殺した元看護師、

「夫の愛情を独占するのが 許せない」と幼い実子を高層階から投げ落とした若い母、

そして、異母きょうだいを殺した母親との関係に苦しむ、加害者でもあり被害者でもある娘の慟哭――。

実際の7事件から炙り出される、新しい家族と社会の課題とは。

【著者のことば】
「日本の殺人事件の半数以上が親族間で起きており、近年その割合は特に高まっています。その背景には、老老介護、経済格差、8050問題、精神疾患治療等の問題があり、コロナ禍や超超高齢化の時代において、それはさらに顕著なものになると考えられています。本書ではこれらを「近親殺人」と名付け、事件ルポを通して、ニューノーマルの中での家族の在り方、問題の向き合い方について掘り下げました。」


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