紅だ! 桜庭一樹 (著) 文藝春秋 (2022/7/25) 1,540円

東京の新大久保、コリアンタウンから超多人種都市へと変貌しつつある街に、「道明寺探偵屋」は事務所を構える。

社員はわずかに二人、そのうちのひとり、真田紅は、女子テコンドーでオリンピックに出場経験がある大柄な武闘派だ。

「紅だあーッ!」

真田紅がいつものように雄叫びを上げながら「道明寺探偵屋」の扉を勢いよく開ける。

外にいたのはオルチャンメイクをほどこした見知らぬ小柄な少女だった。

ハイタカと名乗った少女は、物騒な連中に追われているようだ。

成り行きで用心棒を引き受けてしまった紅は、ハイタカに襲い掛かる者どもを撃退する。

「生死を問わず」捕まえろ――ダークウェブで多額の懸賞金がハイタカにはかけられていたのだ。

まだ15歳の少女に、いったい誰が? 何の目的で?

同じ頃、もうひとりの社員こと黒川橡は、かつての職場の先輩である公安の藤原に相談を受けていた。

全国各地のATMでいっせいに偽札が発見されたのだ。

不本意ながらも捜査に巻き込まれていく橡だったが、事件の鍵を握る重要人物として浮かんできたのは、どうやら紅の依頼人である少女、ハイタカなのだった。

橡は躊躇いながらも、一年ぶりに“相棒”に電話をかける。

「――じつはな。どうやら俺たち、久々の共闘になりそうなんだ。紅」

果たしてハイタカと偽札事件のかかわりは? 彼女が抱えている秘密とは?

そして、紅と橡に一年前に生じたわだかまりとは何か?

二転三転する事件に翻弄されるなかで、社会正義や共同体の在り方について悩み、お互いを見つめ直す探偵コンビを描く、ノンストップ・アクション・エンタテインメント。


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