虚人たち 筒井康隆 (著) 中央公論新社; 改版 (1998/2/1)

同時に、しかも別々に誘拐された美貌の妻と娘の悲鳴がはるかに聞こえる。

自らが小説の登場人物であることを意識しつつ、主人公は必死の捜索に出るが…。

小説形式からのその恐ろしいまでの“自由”に、現実の制約は蒼ざめ、読者さえも立ちすくむ前人未踏の話題作。

泉鏡花賞受賞。

4時間30位の時間つぶしの一冊を探す誰かへ。
“今のところまだ何でもない彼は何もしていない。何もしていないことをしているという言いまわしを除いて何もしていない”虚構の存在である事を自覚する主人公により、1ページ1分としてリアルタイムで時間が進んでゆく本書は表現手法が何層にもわたって実験されていて驚かされる。
個人的には、従来の起承転結的な物語に慣れている読者ほど、理解不可能ではないか?と心配にすらなったが【あくまで虚構である】と著者視点を意識して眺めると、突然割り込んでくるようなギャグ風のキャラ、そして物語としては後味の悪い結末も受け止められるのではないか。とも思った。
幻想的、実験的な小説を読みたい誰か、あるいは4時間30位の時間つぶしの一冊を探す誰かにオススメ。」

「常に小説の”虚構性”を強調し、表現技巧に工夫を凝らす筒井が新しい挑戦を試みた意欲作。小説の”お約束”を全て放棄してしまうと言う破天荒な実験作だ。」

「70を過ぎてライトノベルに進出。ネットがまだ一般的でなかった頃に双方向性小説を執筆。等々過激な創作を続ける小説家筒井康隆が純文学の世界に殴り込みをかけたこの作品。主人公の意識に合わせて1分間=原稿用紙1枚というペースで描写しているから意識がない間はページが真っ白!「ふざけるな」と怒り出す人もいるでしょうね(笑)結構難解なので巻末の解説やエッセイ集『着想の技術』に目を通してから読んだ方がいいと思います。はっきり言って筒井作品初心者にはお勧めできません(笑)でも筒井毒者にはたまらない逸品です。」


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