恐竜研究の最前線 謎はいかにして解き明かされたのか マイケル・J・ベントン(著) 創元社 (2021/6/29)

科学の発展が明らかにした恐竜の謎

この20年ほどの新しい技術の発展により、色、咬合力、走る速度や子育ての様子など、化石に隠された謎が思いがけない方法で明らかにされた。

著者は古生物学が博物学からコンピューターや最新の技術を用いた科学的領域へと変貌した軌跡を目の当たりにしてきた。

そんなベントンが通説を振り返り、自身の研究・経験をもとに、最新の発見と証拠を示し、読者を研究の最前線である発掘現場から博物館、研究所の舞台裏まで案内する。

真鍋 真 氏(国立科学博物館)推薦
「単なる想像から科学的仮説へ。近年の恐竜学の驚きの進歩を実感しよう! 」

「恐竜に興味を持っている学生だけでなく、科学的な考え方と態度が学べるので、理工学部の学生の一般教養としても最適。恐竜についての根拠の薄弱な空想や想像を排除して、根拠のある「科学的」仮説となっていく様子がよくわかる。その目次は
第1章 恐竜の起源
第2章 系統樹の作成
第3章 恐竜の発掘
第4章 呼吸と脳と行動パターン
第5章 ジュラシック・パークの世界
第6章 胚から巨体へ
第7章 恐竜の採餌行動
第8章 恐竜の移動様式と歩行
第9章 大量絶滅
となっている。系統樹はビッグデータを使ってビジュアルに表現し、発掘された化石を分析するために断層撮影をして資料の内部から表面までの構造を明らかにしたり放射光を使って成分を分析をし生体としてどのような様子であったか。化石ををもとに有限要素法を使って恐竜の形と力を再現している。著者の体験が中心となっているので、親しみやさすさもある。もちろん持説にこだわることはしていないが、原著刊行後には、本書の記述が修正されるような進展があったとは思う。
気になったのは1行の末尾に句読点を無理やり収めた読みにくい組版になっていること。」

「これはまた専門的な本ですね。
おそらく普通の恐竜ファンの方が読んでも眠気に襲われるだけだと思います。
恐竜が好き
ではなく
恐竜学に興味の有る方向けの専門書ですね。
著者より年下の私ですが
著者の語られる博物学から科学への変革をリアルタイムで経験してきました。
私の学生時代と違い、現在では古生物学の古脊椎動物学を学べる大学も増えてきました。
恐竜が好きな地質学を学んでいる学生さんにお薦めの本ですね。
しかし、一般向けの内容とは思えないので、売れるのかな?」

「Michael J. Bentonの『The Dinosurs Rediscoverd』(2019年)の翻訳。
ベントンはスコットランド出身の恐竜学者。恐竜の出現、その色、絶滅などについて次々と新説を打ち出してきたことで知られる。
本書は、恐竜研究の最前線を一般向けにわかりやすく語ったもの。恐竜の出現した時期が大幅にさかのぼっていること、その多様性が急激に進んだこと、DNAを使って現代によみがえらせることは可能か、色や羽毛について、子育ての仕組み、系統図の見直しなど、たくさんの話題が詰めこまれている。
いずれもビックリするようなイメージの書き換えであり、非常に興奮させられた。
全体的・総合的な解説書というよりは、著者の学説を中心に紹介した内容。
喜多直子さんの訳文は読みやすい。また、恐竜学者である久保田克博・千葉謙太郎・田中康平の3氏が監訳で入っているので、内容的にもしっかりしたものとなっている。」


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