アクターネットワーク理論の源流に迫る!
21世紀前半において最も注目される思想家の一人ブリュノ・ラトゥールと社会学者スティーヴ・ウールガーによるラボのエスノグラフィー第一世代の代表的研究にして、科学人類学・科学社会学における「古典」、待望の邦訳
囲碁のゲームは何もない盤面から始まり,盤面に一手ずつ石が置かれていく。
置かれた石がチェスのように盤面を動くことはない。
よって、最初の一手はほぼ完全に偶然的であるのだが、対局が進行するにつれて、どこにでも石を打つことはどんどんと容易ではなくなっていく。
つまり、科学の闘争の場のように、前の手の結果が可能な次の手の組み合わせに変換されるのである。
すべての手が同等に可能ではなくなるのだ。
(「第6章 無秩序からの秩序の創造」より)
「本書は科学的事実を生産する場となる、「研究」や「研究所」、そして「科学者」を、動的な存在として描き出す、読み応えのあるエスノグラフィーである。特に個人的な関心では、第5章「信用のサイクル」における、「科学者がお互いに関心を持つのは(…)それぞれが信頼性の高い情報の算出を増やすためにお互いを必要とするからなのである。」という記述が、読んでいて胸が熱くなるような思いがした。科学的事実をはじめ、知的な生産活動とは、実際はどのような活動なのか、あらためてその実態をとらえなおしたい人にとって、本書は様々な示唆を与えてくれる、優れた科学論だと思う。」
「本書の副題:科学的事実の構築は、’信用に支えられている’が本書の結論に思える。この上にネットワークが加われば、ANTに近づく。しかし、ラボラトリーの日常分析としても実に詳細なもので、それだけでも興味深い。」
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