完全な人間を目指さなくてもよい理由 マイケル・J・サンデル(著)、林芳紀(翻訳)、伊吹友秀(翻訳) ナカニシヤ出版 (2010/10/12) 1,980円

サンデル教授の「白熱」生命倫理学教室。

遺伝子操作やスマートドラッグやドーピングは悪か?

何処までなら許されるのか?

人間の身体増強への欲望は「正義」か。

今、話題のハーバード大学マイケル・サンデル教授の著書、待望の翻訳!!

「まずタイトルにある「エンハンスメント」とは非治療目的での生物医科学技術の使用という意味らしい。よくアニメなどで超人的な能力を持つキャラクターがいるけれど、努力で手に入れたのか?生まれながらの才能なのか?改造手術を受けたのか?によっては読者の見方は変わってくる。ましてスポーツ選手なら大問題になる。こうしたエンハンスメント問題は私達の社会の様々なところで現実味を帯びてきている。だからなぜダメなのか?あるいは良いのか?という結論だけでなく、その理由も考えていかないといけない。サンデル教授の話はこうした問題の賛否両論含めた全体像を整理して説明してくれます。」

「エンハンスメントした場合にどのような問題があるか書かれていた印象です。あまり本を読むスピードや理解力などはありませんが、難しすぎず長すぎず、簡潔な文章でわかりやすかったです。
倫理的な問題点のみならず、塩基配列を人為的に操作することによる安全性の問題点なども論じられていたと思います。
ただ、疑問に思ったことが1つあります。「エンハンスメントが行われることで人がより責任を背負うことになるデメリットがある」という意見を目にしましたが、実際の世の中には「負える以上の責任を背負わされている」場面が多いと思います。パーソナリティ障害者に死刑判決が下された時やパワーハラスメントを受ける社員などを見てよくそう思います。エンハンスメントがそのような能力の格差などを埋め、人がしっかり責任を負えるということはむしろメリットなのではないでしょうか。」

「NHK白熱教室で一躍有名となった、ハーバード大教授マイケル・サンデル氏が、生命倫理、特に遺伝子操作・エンハンスメントの分野における議論をまとめた本。
本来生命倫理の分野のエキスパートではい著者が、新鮮な気持ちでこの難問に当たることで、(私自身も含め)初心者にも入っていきやすい、しかし思考力・想像力をかきたてるような内容になっていると思います。
サンデルは、生命を「贈られ物」と捉えるなど、やや宗教的な部分もありつつ、しかしそうした反論にも一定の答えを与えています。その倫理観は多くの日本人にとって共感しやすいものであると思います。
生命倫理に興味がある方だけでなく、サイボーグ化やドーピングなどがなぜいけないのか?という疑問を一度でも持ったことがある方なら、読んでみて面白いと思える本ではないでしょうか。」


(↑クリックするとAmazonのサイトへジャンプします)

 

おすすめの記事