真夜中のカーボーイ 山田五郎(著) 幻冬舎 (2020/10/22)

「好きに死なせてほしいのよ」

高3の約束を果たすために、57歳の女と男は赤いメルセデスのカブリオレに乗り込んだ。

デビット・ボウイを歌いながら「最高の死」の瞬間(とき)を求める道行きがついに始まるーー。

目的地は1976年の夏と同じく南紀白浜。

違うのは、元カノのデコが癌で死にそうなことだった。

「死ぬ前に、きっちり落とし前つけときたいの」

アパレル会社経営の富豪の女と、出版社勤務の冴えない男が始めた心の旅ーー。

カルトメジャーの雄が新しい幸福の姿を描き切った、書き下ろし小説。

「「真夜中のカーボーイ」(山田五郎 幻冬舎)を読み終えました。
動機は、やはりそのタイトル。1970年代のアメリカン・ニュー・シネマ。好きで、嫌いな映画群。それは、本書にも登場する「神田川」が嫌いで、好きなことと同じ理由かもしれません。ジョン・シュレシンジャーが監督したその映画は名作と謳われながら、今では何故か見る機会がほとんどない(スタインベックが描いたようなニューヨークに何故あれほどまでに心を動かされたのだろう?)。
1976年の夏、(私にとっても、そう、「限りなく透明に近いブルー」の夏)、高校三年の夏休みに「俺」と恋人のデコはバイクにタンデムして大阪から和歌山の南紀白浜を目指しますが、たどり着けないまま終わり、そして二人の間柄も終わりを迎えます。「あれから四十年」(笑)。「俺」はその恋人から電話を貰い、ある頼みごとをされます。もう一度、あの頃のように二人で南紀白浜に行きたい。「死ぬ前に、きっちり落とし前つけときたいの」
アパレル会社経営の富豪の女と、出版社勤務のおばかな男(私もまたおばかですが(笑))によるロード・ノヴェル。運転する車は、真っ赤なメルセデス、カブリオレ。その道行きは、じっくりとお読みいただければと思います。」


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