洋品問屋の丁稚は、いかにして「東洋の時計王」になったのか。
経済小説の名手が贈る、世界的時計メーカー「セイコー」創業者・服部金太郎の一代記。
明治七年。
十五歳の服部金太郎は、成長著しい東京の洋品問屋「辻屋」の丁稚として働いていた。
主人の粂吉は、金太郎の商人としての資質を高く評価し、ゆくゆくは妹の浪子と結婚させ、金太郎を辻屋の一員として迎え入れようとする。
だがそんな思いとは裏腹に、金太郎は、高価ゆえに持つ人の限られていた「時計」に目をつける。
鉄道網の発達により、今後「正確な時間」を知ることの重要性が高まると見抜いていたのだ。
いずれは時計商になりたいという熱い想いを粂吉に伝えるが――。
「GSの正規店にこちらの本が置いてあり、興味が出て購入しました。
面白く一気に読みました。
自分のSEIKOの時計に愛着が湧きました。」「輸入品に負けない国産の時計をつくりたい、との夢にかけたセイコーの創業者と仲間たちの物語。400ページ近い大作だけど、著者の人物造形とストーリー展開がうまさに魅せられ、1日で読了した。小説として面白いだけでなく、経営を考える本としても有益だ。
主人公の服部金太郎、本書に登場する後藤新平、渋沢栄一など、明治期の卓越した経営者、政治家は、欧米に追い付こうという夢、従業員を大切にするところ、私利私欲をもとめないところなど、皆共通しているのだなぁ、と思った。」「期待を裏切らない楡周平。
読み応え抜群でした。
偉い人だったのですね、セイコーの創始者は。
しかも商才がすごい。
また、天災で2回も店を失っても、それをバネにして再興する。強い精神力です。
一つ難を言えば、国内ライバルメーカーの事がほとんど書かれておらず、精工舎の立ち位置が良くわからなかったのが残念です。」
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