ペンギンの憂鬱 アンドレイ・クルコフ (著), 沼野恭子 (翻訳) 新潮社 (2004/9/29) 2,200円

恋人に去られた孤独なヴィクトルは、憂鬱症のペンギンと暮らす売れない小説家。

生活のために新聞の死亡記事を書く仕事を始める。

しかし、そのうちまだ生きている大物政治家や財界人や軍人たちの「追悼記事」をあらかじめ書いておく仕事を頼まれ、やがてその大物たちが次々に死んでいく。

舞台はソ連崩壊後の新生国家ウクライナの首都キエフ。ヴィクトルの身辺にも不穏な影がちらつく。

そしてペンギンの運命は…。

欧米各国で翻訳され絶大な賞賛と人気を得た、不条理で物語にみちた長編小説。

「独創的で謎めいていて、行動と心情を交互につづってわかりやすいのに、わかりにくく、最後まで読ませます。架空の物語の中の怪しい社会の雰囲気がじわじわと伝わってきます。ひととしての原始的な在り方が、強い主張となって社会に内包されていることに恐怖を感じました。途中からはペンギンとの絡みを意識している感じがして、もうちょっと後半に何か重みとなるものがあればもっと良かったのにな、と思いました。ペンギンと幼い娘さんが出てくるたびに微笑ましくて、成長の過程で、ひとはいつ微笑ましさを失ってしまうのかと考えてしまいました。」

「ソ連崩壊後のウクライナ内の勢力争い?に巻き込まれた文筆家とその飼ってるペンギンの話。なんか村上春樹っぽい感じでサクサク読めて、面白かったです。現実の旧ソ連のマフィアの暴力って冷酷で残虐なんでしょうけど、村上春樹的なノリなのでそういう描写はないので、安心して楽しんで読めます。」

「スリラーのようで、ペンギンや若い女性、女の子がからむ不思議な魅力を持つ小説。これがウクライナの新しい小説かと驚いた。ラストがどうなるのだろうと気を揉んだが、意外な展開だった。読書の楽しみを与えてくれる本。」


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