ザ・ロイヤルファミリー 早見和真 (著) 新潮社 (2019/10/30) 2,200円

史上初!山本周五郎賞&JRA賞馬事文化賞W受賞作!

継承される血と野望。届かなかった夢のため――子は、親をこえられるのか?

成り上がった男が最後に求めたのは、馬主としての栄光。

だが絶対王者が、望みを打ち砕く。

誰もが言った。もう無理だ、と。

しかし、夢は血とともに子へ継承される。

馬主として、あの親の子として。誇りを力に変えるため。

諦めることは、もう忘れた――。

圧倒的なリアリティと驚異のリーダビリティ。

誰もが待ち望んだエンタメ巨編、誕生。

「読み始めて5分の1ほどの時点で、読み進めるのが憂鬱になりました。面白くないからではありません。こんな素晴らしい作品を、読み終わる瞬間が数日後に訪れることに気づいてしまったからです。いつまでもこの物語をよんでいたい、この物語が終わってほしくない。読み始めてすぐ、そのような気持ちにさせられたのは、本作「ザ・ロイヤルファミリー」が初めてでした。
内容の多くも、ここで語りたくありません。レビューにふれる皆様にできるだけ、なんの予備知識もなく、本のタイトルとブックカバーのデザインのみから感じる「読者自身の先入観」だけを頼りに、この物語を読みすすめて欲しい、いえ、物語られる登場人物たちとの時間を共有して欲しいからです。
作中の時間経過はスピード感がありながら、その紡ぎだされる様々な人生の場面は、ゆっくりであり、優しくもあり、忸怩たる思いもあり、人生そのものです。そして、読み終えた瞬間に「読者自身の先入観」をとんでもなく越えてきた、との思いを強く抱くはずです。
令和元年を彩るにふさわしい、すばらしい物語が誕生しました。」

「とあるグリーンチャンネル無料日の競馬場の達人に、作者が出演したのを見た時、この本の宣伝をしていました。
その放送回自体も面白かったのと、かなり競馬に愛と情熱を込めて執筆したことがうかがえたので興味を持ちました。
主人公の過度に丁寧調子に思える独特の人柄と語り口で紡がれる点は多少クセがありますが、すらすらと読めます。
実際の馬主や馬産地などの様子は分かりませんが、こんな感じなのかなと思えるリアリティがあります。
また、一定以上の競馬ファンにはモデルとなった相手を想起させる特徴を持つ馬主や騎手、競走馬や種牡馬などが登場する点も面白い所に思います。
物語なので上手く行き過ぎる部分や極端な部分もありますが、逆に完全には上手く行かない状態でやきもきする展開もあるので、最後について賛否はあるかもしれませんが、個人的には良い幕引きだったと思いますし、いいカタルシスを味わえました。」

「血が受け継がれていく競馬の魅力に加え、人間の血も親から子へ受け継がれていく様が、とある馬主一族にフォーカスを当て見事に描かれています。
また、馬、馬主、調教師、騎手は全て架空ですが、リアルな人・馬に重ねられなくもないので、コアな競馬ファンがより感情移入できそうな作品になっています。
より競馬が好きになる、全競馬ファンにぜひ読んでもらいたい素晴らしい作品でした。
主人公が競馬界に足を踏み入れていく過程だけは設定が少し強引ですが笑、そこすらも愛おしい読後感です。」


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