ほんとうの定年後 坂本貴志 (著) 講談社 (2022/8/18) 1,012円

「小さな仕事」が日本社会を救う

年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、

60代管理職はごく少数、70代男性の就業率は45%、80代就業者の約9割が自宅近くで働く……全会社員必読!

知られざる定年後の「仕事の実態」とは?

漠然とした不安を乗り越え、豊かで自由に生きるにはどうすればいいのか。豊富なデータと事例から見えてきたのは、「小さな仕事」に従事する人が増え、多くの人が仕事に満足しているという「幸せな定年後の生活」だった。

日本社会を救うのは、「小さな仕事」だ!

【目次】
第1部 定年後の仕事「15の事実」
事実1 年収は300万円以下が大半
事実2 生活費は月30万円弱まで低下する
事実3 稼ぐべきは月60万円から月10万円に
事実4 減少する退職金、増加する早期退職
事実5 純貯蓄の中央値は1500万円
事実6 70歳男性就業率45.7%、働くことは「当たり前」
事実7 高齢化する企業、60代管理職はごく少数
事実8 多数派を占める非正規とフリーランス
事実9 厳しい50代の転職市場、転職しても賃金は減少
事実10 デスクワークから現場仕事へ
事実11 60代から能力の低下を認識する
事実12 負荷が下がり、ストレスから解放される
事実13 50代で就労観は一変する
事実14 6割が仕事に満足、幸せな定年後の生活
事実15 経済とは「小さな仕事の積み重ね」である

第2部 「小さな仕事」に確かな意義を感じるまで
事例1 再就職先で一プレイヤーとして活躍
事例2 週末勤務で会社を支える
事例3 包丁研ぎ職人を目指して独立
事例4 近所の学校で補助教員として働く
事例5 同僚、患者とのやり取りを楽しむ
事例6 幕僚監部から看護師寮の管理人に
事例7 仕事に趣味に、人生を謳歌する

第3部 「小さな仕事」の積み上げ経済
1.定年後も働き続ける人に必要なこと
2.高齢社員の人事管理をどう設計するか
3.労働供給制約時代における経済社会のあり方

「リタイアして2年の前期高齢者としては、生活に必要な金額等のデータに、一応納得することができました。65歳前後でリタイアしてからの生活費と40~50代を中心としたそれとでは、現役時代に考えていた以上の違いがあることや、持ち家の有無に関することなどです。
しかし、そもそもデータは男性の正規雇用者(だった人)を中心にしています。これは筆者の責任ではなくて、最終的には「正規雇用の夫と専業主婦の妻、子ども2人」を長らくステレオタイプの家庭としてきた国の責任に帰結するのではないでしょうか。
「男女雇用機会均等法」前夜世代の者としては、正規雇用されて働き続けることができた男性との待遇やリタイア後の経済力の大きな差・違いに改めてため息をつきました。それがレビュータイトルの「ある程度は」の根拠です。
連れ合いを早くに亡くし、「男女差なし」の業種で個人事業者として働き続けた現役時代もリタイア後も、つくづく“この国で女に生まれて損した”というのが、読む前から読後の現在に至るまでの率直な感想です。」

「何事もバランスだよな。リスキリングでDX人材を促成栽培するのもいいけど、結局同じパイの中だけで再生産してもあんまり意味ないんじゃないかと感じてきました。そして第3部、ここが急に熱量が上がって議論がヒートアップします。純粋に「定年後のキャリア」に限定せず、結構大きな日本社会の問題を扱っている。当然賛否もあろうかと思います。移民問題についての言説なども、非常にパワフル。良い仕事に、良い報酬という当たり前のことが実現しにくい国ではあるのですね。」

「データ、事例、世の中への提言と幅広い内容ですが定年後の生活も、その人の状況に合った仕事や生活を無理なくすることでがんばらなくても、充実して楽しく生きていける方法を示している本でした。各種データを見ると、現実はリアルで、厳しいような感じもしますが、この本をガイドブックにして、その人に合った準備や心構えを進められると思います。定年後やその準備について、冷静に考えたい方にオススメの本です。」


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