夜が明ける 西加奈子 (著) 新潮社 (2021/10/20) 2,035円

直木賞受賞作『サラバ』から7年、本屋大賞第7位『i』から5年。

西加奈子が悩み苦しみ抜き、全力で書き尽くした渾身の作品『夜が明ける』が、10月20日、ついに刊行。

「当事者ではない自分が書いていいのか、作品にしていいのか」という葛藤を抱えながら、それでも社会の一員として、作家のエゴとして書き抜いた本作は、著名人、書店員をはじめ、多くの人の心を揺さぶる救済と再生の感動作。

【著名人の皆さんから感動コメント】

小泉今日子さん (俳優)
今、 社会の中で、 気付かなくちゃ、
感じなくちゃいけないことがきっちり書いてある。

是枝裕和さん (映画監督)
読んでいる間中、 自分も主人公と同じように経験した「痛み」が胸にこみ上げ
息が苦しくなった。 これが小説であることをしばしば忘れ、
その度に本を閉じたが、 読み終わったときに感じたものは「希望」に近い何かだった。
「幸福」とも「解放」とも違う、 何かだった。

仲野太賀さん (俳優)
息を殺しながら生きなくてもいいように、
誰かの心が壊れないように、
この物語が生まれたんだと思う。

二階堂ふみさん (女優)
ページを捲る度に、 五感が研ぎ澄まされる。
匂い、 味、 温度、 小さな痛み。
この国に、 アキはどれほどいるのだろう。
人間は脆く、 そして哀しい。
どこまでも、 哀しい。
だからこそ”優しさ”の奇跡が生まれるのだと、 西先生の綴る文章から感じました。
これは遠い誰かの話では無く、 間違いなく”我々の話”であると思います。

【あらすじ】
15歳の時、 高校で「俺」は身長191センチのアキと出会った。

普通の家 庭で育った「俺」と、 母親にネグレクトされていた吃音のアキは、 共有できる ことなんて何一つないのに、 互いにかけがえのない存在になっていった。

大学卒業後、 「俺」はテレビ制作会社に就職し、 アキは劇団に所属する。

しかし、 焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、 俺たちは少しずつ、 心も身体 も、 壊していった……。

思春期から33歳になるまでの二人の友情と成長を描 きながら、 人間の哀しさや弱さ、 そして生きていくことの奇跡を描く。

本書は著者が初めて、 日本の若者の生きていく上でのしんどさに真正面から取り組んだ作品。

【著者紹介】
西加奈子(にし・かなこ)
1977(昭和52)年、 イランのテヘラン生れ。 エジプトのカイロ、 大阪で育つ。 2004(平成16)年に『あおい』でデビュー。 翌年、 1 匹の犬と5人の家族の暮らしを描いた『さくら』を発表、 ベストセラーに。 2007年『通天閣』で織田作之助賞を受賞。 2013年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞受賞。 15年に『サラバ! 』で直木賞を受賞。 ほか著書に『さくら』『円卓』『漁港の肉子ちゃん』『ふる』『まく子』『i』『おまじない』など多数。

「長い間くすぶって屈折した自分には、この夜明けでは勇気を貰えませんでした。しかし、殻を破り明るい場所に戻るのには、このやり方しかないのかもな…とも思いました。僕を救ってくれる作品を求めて、色々チョイスしてきましたが、『サラバ』や今作は惜しいところまできています。上から目線でスイマセンでした。懲りずに外の世界に救いを求めて探し続けます。本当は心の中に答えがあること、知っているのに」

「一生懸命生きているだけなのにふとしたことがきっかけで人生が悪い方向へ転がっていき、そこから抜け出すのが困難になる様子を描いている。
TV局への就職をしても過酷な労働条件で心身ともに疲労していく様、吃音がありことなどからバカにされていた若者が劇団に出会い前進するかと思った人生がのめりこみ過ぎてまたそれが暗転する。
物語の途中は、もうちょっと救いがあっても良い人達であろう辛さが全面に出てくるので、沈んでいる気持ちの人は読むタイミングではない。
日本全体がまじめに一生懸命働いても希望が持てない、特に若者の様子を描く様は辛い気持ちを抱かせる。
登場人物達の人生にどっぷりと感情がシンクロしていく様は著者の魅力である。
一度道を踏み外すと平均的な暮らしを維持することさえ難しい現状を著者は物語の中で叫び続けている。
それでも若者が現状からの希望を胸に抱ける世界であってほしい。」

「本書を購入前に『小泉今日子と西加奈子の対談!』を読んで欲しい。ネットで検索すると出て来る。
著者がカナダで書き上げた『夜が明ける』についての真相がこの対談によって明らかになる。
2021年10/23(土) 8:00配信された、本書の出版社
『新潮社 小説新潮 2021年11月号 掲載』の記事だ。
私も本書により、ようやく気がついた。くるしいときは、くるしいと話てもよいことを。著者に勇気をもらい感謝する。
本書は、現在、日本の生きとし生けるもの全ての人に読んで欲しいと思った素晴らしい作品である。」


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