マツダのロータリーエンジンに対する愛着は、ロータリーエンジン愛好家だけでなく、マツダ社内にも根強い。
それほど、独創性に満ちたエンジンであったといえます。
目次
同じ排気量でも出力を高くできるエンジンだった
ヴァンケル型といわれる方式で稼働するロータリーエンジンは、まずドイツNSU(現在のアウディ)で実用化されました。
しかし販売された台数は限られ、1977年まで生産されましたが以後は沙汰止みとなっています。
そのNSUと提携し、あらためて量産・実用化したのがマツダ(当時は東洋工業)です。
1967年のコスモスポーツが第1弾で、その後、ロータリークーペやルーチェ、あるいはコスモといった乗用車へも展開し、スポーツカーのRX-7が誕生します。
ロータリーエンジンは、ピストンが上下動するレシプロエンジンに比べて小型でありながら、2ストロークエンジンのように連続して燃焼させることができるので、同じ排気量でも出力を高くできます。
まさにスポーツカーにはうってつけのエンジン形式だったのです。
ちなみに、トヨタが先日公開したGR GT3ですが、やはりマツダのRX visionと共同で開発してるとか
トヨタとプラットフォームを共有化して、新型のロータリーエンジン搭載車が登場するらしいです pic.twitter.com/hnpdBfAPUL
— cool cars (@coolcars_kirei) March 31, 2022
ホンダのCVCCと変わらぬ早さで排出ガス規制をクリア
一方、1970年から世界的に対応が求められた排出ガス規制や、1980年代の石油危機を発端とした燃費向上では苦労することになります。
一番の要因は、レシプロエンジンの燃焼室が円形であるのに対し、ロータリーエンジンは長方形であることです。
また、繭型をしたハウジング内を三角形のローターが回転しながら、燃焼室が移動していくことも、つねに同じ位置で燃焼を行うレシプロエンジンと異なる特徴です。
燃焼室形状と、燃焼室が移動していくというふたつの点で、たとえば排出ガス規制では窒素酸化物(NOx)の排出量がロータリーエンジンは少ないという利点があります。
一方で排出量の多い炭化水素(HC)の処理が必要になり、サーマルリアクターと呼ぶ排気を過熱しHCを燃焼させて酸化する方式で対処し、ホンダのCVCCと変わらぬ早さで排出ガス規制を達成しています。
燃焼室が移動するため混合気の燃焼温度が低く、燃え残った燃料がHCであり、それを排気後に再度燃やすことで浄化する対策です。
ほかの自動車メーカーも、三元触媒が開発されるまでは、CVCCやロータリーエンジンの研究をしたほどだったのです。
ロータリーエンジンの
響きが最高でした?? pic.twitter.com/4jvGF96w4a— 石田 匠(Takumi Ishida) (@TOHIRA_official) April 3, 2022
ロータリーエンジン復活は難しい?
燃費については、今日でも有効な解決策はないようです。
四角い燃焼室の隅々まで火炎を伝播させ、燃料を燃やし切るのが難しいからです。
そのため、点火プラグを2個設けたこともありました。
とはいえ、今日レシプロエンジンの円形の燃焼室でさえ、燃料を燃やし切るのは容易ではないのです。
ロータリーエンジンを、主用動力として復活させるのは多難であるということです。
しかし、燃焼室が移動することで燃焼温度が低いことは、水素エンジンに向いていますし、ガソリン以外の燃料への適応も不可能ではないでしょう。
たとえばEVの発電機用エンジンとして補助的に活かす道はあるはず。
ロータリーエンジンは振動が少ないので、モーター駆動のEVの滑らかな走りを損ないにくい特徴も活かせます。
レシプロエンジンでも、単独での存続は排出ガス浄化と燃費で難しい今日、ロータリーエンジン車の復活は難しいでしょう。
それでも、ロータリーエンジンの特性を活かした発電用など、災害対応を含め技術を活かせる分野はあるはずです。
マツダ RX-8 [SE3P型] RX-7の後継車種ではなく、設計を一新して新規車種として発売された。
前期型は最高出力が250psだが、後期型では235psへ変更されている。
生産終了した現在、最後のロータリーエンジン搭載車である。pic.twitter.com/nyDsIBBSqR— 名車・珍車bot (@great_cars_bot) March 28, 2022
ネットの声
「私は技術屋なので、ロータリーエンジンそのものに愛着があり、存続してほしいと思っている。でも一般的な考え方は、用途に合ったエンジンを使うべきであり、ロータリーが最適ではないなら無理して使うことはない、ということだろう。水素に向いていることと、一定の回転数で回すと効率が良いこと、振動が少ないことなどから、生き残る道はありそうかなぁ。あると良いなぁ。」
「令和という時代高騰する燃油!燃費は最重要他環境対策もだ。しかしどこのロータリー記事も寿命耐久性の事はほとんど書かない。ここも最重要項目だろう。どんなに高出力 フィーリング 振動に優れていても壊れたりその優位性を維持出来ないのではダメだろう。レシプロだって耐久性を犠牲にしたらもっと高出力にできるがそれはやらない。実際乗っていたから解るが、あの最高のパフォーマンスを長い間維持は出来ない。オーバーホールは必須だ。令和の時代それは万人には受け入れられないだろう。」
「メーカー自身「開発は続けている」と言っているしプロトタイプも出てるのに無理と否定…と思ったらやっぱり御堀。どうしても内燃機関を絶滅させたいらしい。プロトタイプもシリーズハイブリッド、一定の回転数なら効率が高い、がロータリーエンジンそのものの特性から言えばホンダのe-HEVのように高速域でエンジンを直結するシステムなら伸びを体感できるはず。水素などガス燃料でもロータリーはレシプロより有利と言われているし。」