“適量の飲酒は健康にいい”説は間違っていたかも!?

「適量の飲酒は健康にいい」説は間違い、「どんな量でも飲酒は心臓の健康を害する」ことが35万人超の調査結果で判明。

多量のアルコール摂取が体に悪いことはよく知られていますが、「酒は百薬の長」という言葉の通り、適量のお酒ならば健康にいいと考えている人は多いはず。

しかし、35万人分の健康データを調査した結果により、適量とされる飲酒量でも健康に悪影響を及ぼすことが明らかになりました。

英国でデータを収集

英国では、推奨される「適量のお酒」の目安として、「1週間に14単位まで」という基準が設けられています。

これは一般的なビールに換算すると6パイント(約3400ml)、または低アルコールのワイン10杯分に相当すると示されています。

2016年に当時の最高医療責任者であったサリー・デイビス医師により定められたこの基準ですが、近年の研究によりこの基準を守っていても心臓へのリスクがあることが分かってきています。

英国のアングリア・ラスキン大学のルドルフ・シュッテ氏らは、適量とされるアルコールの接種と心血管系の病気との関連を探るべく、英国の大規模な医療データベース「UK Biobank」からデータを収集。

40歳から69歳までの英国在住の人を対象に、33万3259人の飲酒経験者と、2万1710人の飲酒未経験者の心血管疾患との関連を調査しました。

適量でも心疾患で入院する可能性が高い

調査により、適量を下回る飲酒量を保っている人でも、全く飲酒しない人と比べると心血管疾患で入院する可能性が高いことが明らかになりました。

この傾向は特にビールや蒸留酒を飲む人に顕著であり、アルコール度数4%のビールを1週間に4パイント(約2270ml)飲むごとに、心血管疾患に苦しむリスクが23%増加するとのこと。

以前の研究では飲酒をする人と飲酒をしない人のグループにわけて調査が行われていたのですが、飲酒をしない人のグループに「健康状態が悪いために飲酒をしない」という人も含まれていたとのこと。

今回の研究では飲酒をしない人の健康状態も調査し、以前心血管疾患を経験した人は飲酒をしない人のグループから除外したため、よりバイアスが薄い結果になっているとシュッテ氏らは述べています。

適量でも体に悪影響

シュッテ氏は

「アルコールを低~中量飲むことは健康にいいという神話は、『喫煙は体にいい』に次ぐ不確かな話です。アルコールの消費に関連する危険性を過小評価するバイアスを取り除いた結果、低量のアルコール消費でさえも体に悪影響があることが明らかになりました」

と述べました。

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